第二章
[8]前話
「七人じゃなくて一人来られなくなってそれでと」
「そんな筈ありません、記念品まで開けてましたけれど」
「あの、確認します」
すぐに店で確認した、するとだった。
六人連れの家族は店に予約なしで入って満室で待っている時に由美子が店の者と七人で来ていると聞いてだった。
彼女が祖母を家族と一緒に店までフォローしつつ向かう間にだ。
待つのが嫌で七人と聞いたので一人来られなくなったと偽ってその部屋に入ってコースも頂いたのだ、それを聞いてだった。
由美子も家族も激怒して言った。
「そんなこと間違えるなんて」
「確認したらよかったのに」
「由美子が言ったんだろう」
「それで本人いなくておかしいと思わなかったの?」
「こんなミスはじめて聞いたぞ」
「信じられないわ」
「申し訳ありません」
両親と祖父母それに兄も妹も怒り店の者は恐縮するばかりだった。
「お詫びにお部屋とコースそれに別の記念品も用意しますので」
「いや、もういいよ」
「凄く気分悪くなったから」
「折角のお祝いだったのに」
「そんな信じられないことが起こるなんて」
「もういいよ」
「今日は帰るから」
六人共言ってだった。
由美子も怒ってもういいと言ってだった。
その足で店を出てタクシーで別の店に行ってそこでコースを頼んだ。そして記念品は後日買って渡した。
それから一年程経って由美子は家族に聞いた話をした。
「あのレストラン潰れたらしいわよ」
「そうだろうな」
「予約していたお客さん間違えたらね」
「由美子が話をしたのに由美子がいないことに不思議に思わないで」
「一人少ないことにも言いくるめられて」
「それでだからな」
「そんなミスしたらね」
家族もそれはと頷いた、そして由美子はさらに言った。
「私達の騒動その時お店にいたお客さん達が見て」
「それでか」
「噂になったのね」
「あの失態がか」
「それで噂があっという間に広まって」
「評判が落ちてか」
「お客さんも来なくなったのね」
家族もわかった、後でさらにわかったがあの六人連れの一家は県会議員をしている辻元清好極左の運動家や組織との関係を噂されている評判の悪い女のものだった。
このことも県内に知れ渡り辻元は次の選挙で落選し同時に多くの犯罪行為が露見し逮捕された、由美子はここまで聞いて留飲を下げたが不愉快な思いは残った。嫌なことだったと。
最低のミス 完
2022・10・21
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