第百二十七話 華雄、よい水着を着るのことその四
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「そうしてやるさ」
「そうか。ずっとか」
「ああ。若し向こうの世界に戻れてもな」
「安心しろ。俺はどの世界でも変わらない」
「そうだな。御前はそうした奴じゃないな」
「貴様は。この世界でも闘うことになれば殺す」
この考えは変わらなかった。普遍であった。
「それは言っておこう」
「そうか」
「オロチの奴等も同じだ」
八神はオロチ達についても話すのだった。今も虎とは闘っている。その虎に対して五分と五分の闘いを繰り広げているのだ。
「奴等とはここで完全にだ」
「決着をつけるか」
「そうする。まずは奴等だ」
「俺も奴等とは決着をつけるぜ」
草薙の目が強く光った。
「絶対にな」
「言っておく。俺の炎は確かに青い」
「それでもなんだな」
「だが俺の炎はオロチの炎ではない」
八神は今は炎を出さない。しかしそれでも言うのである。
「俺の炎だ」
「そうだな。じゃあその炎でな」
「奴等も貴様も倒す。そうする」
「でだ。その虎はもう解放してやれ」
不意にだ。草薙はこう八神に言った。
「もうそろそろへとへとになってるぜ」
「ふむ。確かにな」
草薙に言われてだ。八神もそのことに気付いた。
「ではいい。俺はこれでな」
虎2背を向けた。その虎にだ。
「止めるとしよう」
「休憩か」
「肉でも食う」
虎に背を向けたままでの言葉だった。虎は彼の背を見ても動かない。疲れと八神の出す剣呑なプレッシャーに気圧されてである。
「そうする」
「ここでも肉なんだな」
「何かあったな」
「豚にするかい?牛にするかい?」
「牛だ」
その肉だというのだ。
「それを食う」
「そうか。じゃあ俺もだな」
草薙は壁から背を離した。そしてだ。
身体を大きく伸ばしてだ。こう言ったのである。
「ちょっと食うか」
「魚か」
「ああ、焼き魚な」
彼の好物のだ。それだというのだ。
「それにするさ」
「相変わらずだな。魚ばかりだな」
「そういう御前は肉だな」
「好きだからだ」
異論は許さないという口調だった。
「それにしている」
「俺もだ。で、泳ぐのはどうするんだ?」
「泳ぐことも嫌いではない」
八神はこう草薙に返した。
「これでいいか」
「ああ。じゃあその時にな」
「まずは食うことだな」
「お互いにな」
二人は今は闘わない。しかしそれでもだった。
何時か闘うことを考えながらだ。今は別れるのだった。
その昼にだ。草薙が厨房に入るとだ。孔明にこう言われた。そこには彼女と鳳統がいて丁度そこで料理を作っていたのである。
「あっ、丁度できましたよ」
「お昼が」
「そうなのか」
二人に言われてだ。草薙はまずは明るい顔になった。
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