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仮面ライダーAP
番外編 タイプγと始祖の怪人 第1話
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染め上げられているが、体温はまだしっかりと残っている。
 白衣の下に隠されていたセキュリティカードは血で汚れていたが、辛うじてそこに記されていた名前を読み取ることは出来た。

(ノバシェードアマゾン支部所属・怪人研究所所長斉藤空幻(さいとうくうげん)……それが、この男の名ですか)

 斉藤というこの男の遺体に残された大きな傷跡は、怪人の仕業によるものと考えられる。研究中に暴走事故が起きていた可能性を想定した清音は、鋭く目を細めて薄暗い廊下の先を見据えていた。

(……この先のようですね)

 斉藤がここで力尽きるまでに遺して来た血の跡と、奥のフロアから漂って来る匂いに誘われるように。
 清音は太腿のホルスターから引き抜いた自動拳銃(ハンドガン)を構えながら、ゆっくりと歩みを進めて行く。血痕を残した張本人の足跡を辿る彼女の足音だけが、この通路に響いていた。

 やがて、斉藤のものらしき血痕が――とある一室の入り口で途絶えてしまう。恐らく彼は、この先で致命傷を負ったのだろう。

 入り口のドアの向こう側からも、人の気配は感じられない。だが、吐き気を催すほどの血の匂いは、ここから来ていたようだ。

「……ッ!」

 清音は意を決して、遺体から手に入れたセキュリティカードでドアを開き、自動拳銃を構える。そして、その先に広がっていた「殺戮」の現場に――思わず言葉を失ってしまうのだった。

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