第二章
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「そのうち偉いことになるぞ」
「あんたの行いはね」
「そんなケチで恩知らずで尊大で怠け者だとな」
「皆から嫌われてるからね」
「大丈夫だよ、何かありそうだったら逃げるからな」
本人だけは笑っていた、そうしてだった。
パーティーに出た、そのうえで率先してがつがつと食べはじめた。そうしてたらふく食べて帰ろうとしたが。
ここでだ、彼の知人達でありパーティーの参加達は一斉に言った。
「今日のパーティーの金中川が出してくれるらしいな」
「ああ、そうか?」
「それは有り難いな」
「それで中川これまで借りた金もここで返してくれるらしいな」
「へえ、全額か」
「それでこれまで動かなかった分パーティーの後片付けもしてくれるんだな」
「それも一人で」
「えっ、何だよそれ」
帰ろうとした中川は皆の言葉に戸惑った。
「俺はもう帰ろうと」
「いやあ、有り難いな」
「じゃあ早速支払ってもらうか」
「そうじゃなかったら会社でも話すか」
「貸した金合わせて数百万か」
「全部返してもらおうか」
「親御さん達にもお話してな」
周りはそんな彼に構わずさらに言った、すると。
危機を確信した中川はそそくさと逃げ去った、周りはそんな彼をあえて行かせたが。
その後でだ、彼等は笑って話した。
「これでいいな」
「ああ、流石にあいつも俺達と関わらなくなるぞ」
「たかってこなくなるぞ」
「ただ飯も食に来なくなるな」
「付き合いもなくなる」
「いいことだ」
笑顔で話した。
「もう二度と会いたくないな」
「実際は返す筈もないしな」
「仕事をやる筈もない」
「逃げるのはわかっていたけどな」
「これで縁が切れるんだ」
「それならそれで充分だ」
こう話してそうしてだった。
彼等は自分達のパーティーを楽しみにかかった、そして。
中川は会社や家の話が出たのでそそくさと転職し家も出て一人暮らしをはじめた、その後のことは誰も知らないだが風の噂では。
「何処でも同じことしてか」
「嫌われて居場所なくしてか」
「今じゃ行方不明か」
「まあそうなるな」
「あんな奴じゃな」
そうなったことを聞いた、そしてだった。
誰もそれを当然と思った、しかも誰も悲しまなかった。当然の結果だと思った。
一食浮いたを続け 完
2022・10・20
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