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ハッピークローバー
第三十八話 嫌な奴もいないその十三

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「むしろ主人公の一人だな」
「そうだな」
「司馬懿か董卓だよな」
「三国志で嫌われているのはな」
「それで幕末だとか」
「井伊直弼さんはな」
「一番嫌われてるな」
「新選組は人気がある」
 先程話した彼等はというのだ。
「間違いなくな」
「それぞれの隊士でな」
「芹沢さんも最近はな」
「見られるところあるよな」
「だから最近は嫌われているかというとな」
「そこまでいかないか」
「だがな」
 それでもというのだ。
「井伊直弼さんはな」
「嫌われてるんだな」
「山内容堂さんでもだ」
「ああ、土佐藩の殿様だよな」
「あそこまではな」
「嫌われていないか」
「龍馬さんが主役だと悪役だが」
 傲慢な差別主義者として描かれることが多いだろうか。
「しかしな」
「その容堂さんよりもか」
「悪役だな」
「そうなんだな」
「龍馬さんをヒーローにすると悪く描かれれ過ぎるのがな」
 それがというのだ。
「問題だがな」
「実際はそんなにか」
「武市半平太さんを切腹させたがな」 
 それも極めて強引にだ、その為後で親しかった木戸孝允からこのことについて難詰されたこともある。
「あの人なりに幕府や藩のことも考えていてな」
「腐れ外道じゃなかったんだな」
「ある漫画で自分の行列の邪魔をした子供を切り捨てさせたが」
「そんなことはしていないか」
「土佐藩が幾ら上下関係が厳しくてもな」 
 そうした藩だったがというのだ。
「幾ら何でもそんな理由でだ」
「切り捨てさせないか」
「そうだった」 
 こう話した。
「そんなことをしたら幕府に知られるとな」
「お取り潰しか」
「民を無碍に扱ったと言われてな」
「だからなかったか」
「精々殴らせる位だった」
 例え行列が邪魔されてもだ。
「まして子供がしたことだしな」
「殴って終わりか」
「幾ら傲岸不遜でもだ」
 山内容堂がそうした人間であってもというのだ。
「そんなことはしなかった」
「下の者を虫ケラみたいに扱わないか」
「その作品ではよく容堂さんや土佐藩の上士はそう描かれていたがな」
「違ったのね」
 一華も言ってきた。
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