第二章
[8]前話
「それでもよ」
「今日は特価だったから」
「それにするわ、あと茸炒めてお味噌汁もあるから」
「じゃあそっちもね」
「お願いするわね」
こうした話をしてだった。
きいは一旦自室に入って着替えた、そのうえで宿題をすると母の夕食の調理を手伝った、そのうえで晩ご飯の時間になるとだ。
母娘で一緒に食べたがきいはテーブルに向かい合って座って豆腐と若布の味噌汁をすすりつつ言った。
「お父さんとお兄ちゃんはお仕事ね」
「今日もね」
「それで正は塾ね」
「あの子も中三でしょ」
「受験生だしね」
「一昨年のあんたと一緒よ」
「受験ね、それで来年はね」
きいは溜息混じりに言った。
「また私ね」
「あんた何処行くの?」
「八条大よ、あそこ受けるわ」
「そうするのね」
「高校もだしね」
「じゃあね、けれど何かとお金が出るわね」
「そうよね、私よく学校で家が会社やってるからって」
それでとだ、きいは母に話した。
「お金持ちだって思われてるけれど」
「あってもあるだけよ」
「出て行くわね」
「会社がそうだし税金でもよ」
「そうよね」
「大体うち八条グループの系列で」
母はすだちをかけた秋刀魚を美味しそうに食べつつ話した。
「社長と言っても」
「大したことないわよね」
「八条グループの曾孫会社位よ」
「そうだからね」
「何でもないわよ」
「そうよね、社長さんだから偉いか」
「それでお金があるか」
母はさらに言った。
「そう思うのはね」
「駄目よね」
「お金はあればね」
「あるだけ出て行くわね」
「だからちゃんと考えてね」
「節約してよ」
「使っていかないとね」
娘は母の言葉に頷いた、そうしてこの日の夕食を食べると一軒家のごく普通の風呂に入ってだった。
予習復習をしてから少しゲームをして寝た、そこには何の贅沢なものはなかった、だが学校ではいつも家のことを言われた、だがそれは否定するばかりであった。
社長令嬢といっても 完
2022・10・19
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