第一章
[2]次話
彼氏は安定していても
村田雛菊の交際相手である栗橋安吾の職業は公には声優となっているがこちらの仕事と共に雀士もしている。
どちらも浮き沈みが心配される仕事だ、それでよく友人達に言われていた。
「彼氏さん大丈夫？」
「声優兼雀士って」
「どっちも浮き沈みあるでしょ」
「売れたり勝ったら大きいけれど」
「負けたらね」
「いや、声優さんのお仕事はコンスタントにあってね」
雛菊は笑って話した、茶色の長くセットした髪の毛と高い鼻に細めの目に大きなピンクの唇である。背は一六七ありスタイルはモデル並だがグレーのスラックスに青のブラウスという地味な服装である。
「雀士さんも結構ね」
「勝ってるの」
「そうなの」
「打つだけで賭けないから」
ギャンブルはしないからだというのだ。
「別にね」
「これといってなの」
「浮き沈み激しくないの」
「そうなの」
「いや、収入は安定していても」
雛菊は笑って応えた。
「結構凄いわよ」
「浮き沈みあるの？」
「そうなの？」
「収入はあっても」
「そうなのよ、これがね」
笑ってこう話した、だが雛菊は。
その栗橋一七〇位の背で茶色のした髪をパーマにして太い眉と明るい感じの目にいつも笑っている感じの口にすらりとしたスタイルの彼と同棲して仲良く暮らしていた、彼はよく自宅で声優の仕事の練習をしていたが。
今は不良だった、それで俺口調で威勢のいい演技であったが。
「あれっ、さっきオカマじゃなかった？」
「あれは別の作品の役なんだよ」
栗橋は台本片手に答えた、リビングに座って練習をしている。
「それでこっちではさ」
「不良の役なんだよ」
「そうなんだよ」
「そうなのね」
「今期他にも主役の友達の役もあるからさ」
「そういうのもあるの」
「そっちは不良じゃないけれどお調子者で」
そうしたキャラでというのだ。
「それはそれでさ」
「練習するのね」
「そうなんだよ、あと麻雀もさ」
雀士の仕事の方もというのだ。
「勉強しないといけないしな」
「プロの雀士ね」
「もうそっちは」
雀士つまり麻雀の方はというと。
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