第百二十六話 ロック、狼を知るのことその八
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「折角の美味しい御飯が冷めてしまうにゃ」
「ああ、それじゃあな」
「ロックも食うにゃ」
ロックにこう言ってだ。炒飯を出すのだった。
「この店の炒飯は絶品だにゃ」
「大事なのは炒飯だからな」
ロックは猛獲が出してきたその炒飯を見て言った。
「中華料理はな」
「炒飯がにゃ?」
「ああ、これが美味いかどうかでな」
それでどうなるかというのだ。
「その料理人の腕がわかる」
「そこまで大事にゃ」
「ああ、中華料理の基本だからな」
それでだというのだ。
「大事なんだよ」
「成程、そうにゃ」
「それじゃあ食うか」
その炒飯もだ。麺はもう食べ終えていた。
「他のも食うがな」
「じゃあ炒飯にゃ」
「ああ、食わせてもらうな」
こう応えてだ。実際に彼はその炒飯を食べてみた。それは海鮮五目炒飯だった。その海鮮ものに卵、それと胡麻油の味を全て味わってからだ。ロックは言った。
「美味いな」
「美味いにゃ?」
「そうにゃ?」
「ああ、味付けがいい」
まずはそれがいいというのだ。
「飯の炒め具合もいい」
「そしてにゃ」
「他もいいにゃ?」
「素材一つ一つを生かしてしかも調和が取れている。いい炒飯だ」
「あっ、確かにそうにゃ」
「これはかなり美味いにゃ」
「幾らでもいけるにゃ」
トラ達もその炒飯、彼女達の前にあるそれぞれのそれを食べて言う。
そしてだ。こう言うのだった。
「ロックの言う通りかなり美味いにゃ」
「これだけの炒飯は都にもそうないにゃ」
「最高だにゃ」
「これだけの炒飯はそうはないな」
また言うロックだった。しかしだ。
店の中でだ。黒い服に黒髪を後ろに撫でつけた男がだ。こんなことを言っていた。
「この炒飯は偽物だ。食べられないよ」
「んっ、何にゃ?」
「何にゃあいつは」
猛獲達がその男を見る。見ればだ。
彼は店の真ん中でだ。立ち上がって偉そうに言っていた。
「今の最新の調味料を使っている。昔の調味料を使っていない」
「何か訳のわからないこと言ってるにゃ」
「馬鹿にゃ?あいつ」
「おかしな奴にゃ」
トラ達も首を捻る。男を見て。
「美味しければそれでいいにゃ」
「それで新しい調味料を使って悪いにゃ?」
「変なこと言うにゃ」
三人はこう言って首を捻る。しかしだ。
男はだ。店の客達についても罵倒をはじめた。
「こんなものを食って美味いと思っている奴の気が知れないな」
「おい、何だよあんた」
「食っていきなりそんなこと言ってな」
「営業妨害か?」
「人が美味いと思ってるものに何言ってるんだ」
「こんなものが美味いのか」
また言う男だった。
「舌がおかしいんだな」
「何言ってんだこいつ」
「んっ?こいつ料理評論家の山丘じゃないか
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