君の為なら…
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手を…手を離して」
たった数10分会えなかっただけで、不安で気が狂いそうになったティミー…
やっと掴んだアルルの腕を、離す事が出来ないでいる。
「アルル…僕は「この試練は、私一人でやり遂げなければならないの!ティミーは神殿まで引き返して…」
アルルは優しくティミーを諭す。
「……………」
ティミーも分かっているのだ…
無理に付いていってもアルルが困る事を…
この試練は神が定めた決まりがあるのだから…
「…分かった…僕は帰るよ…でも僕は方向音痴なんだ!1人で神殿へ帰っているつもりでも、気が付いたら洞窟にいるかもしれない!それは仕方ないよね!」
ティミーは父と違い無神論者ではない。
だが彼は、アルルの為に神を拒絶する!
「その言い訳を、本気で押し通すつもりなの!?」
「今更だけど、僕にも父さんの気持ちが分かるようになってきた。好きな人の為ならば、神も悪魔も怖くない!世界の全てが敵になっても、愛する君を守りたい!だから父さんは神を信じない…そして僕も神を信じなくなった!…大切なアルルを危険にさせる神なんかを!」
そしてティミーはキスをする。
アルルを愛おしむ感情を抑えきれないから。
「…ティミー………ふふふ、分かったわよ。じゃぁ私は試練を続行するわね。ティミーは1人で帰りなさい…方向音痴のティミー君は1人で!」
そう言ってアルルはティミーと手を繋ぎ、ゆっくり洞窟へと進んで行く。
<ランシール>
リュカとティミーが町へ出てから半日…
夕焼けが世界を黄金色に変える頃、神殿内では神官とビアンカ等がただ黙ってアルルの帰りを待っている。
1度、神殿側からお茶と軽食を出されたが、それ以外はほぼ飲まず食わずで待ち続けている。
「あっれぇ〜!まだアルルは帰ってこないの?」
永遠に続くかと思われた沈黙を、緊張感の欠落した声で破ったのは、町から戻ってきたリュカだった。
「リュカさん…今まで何してたんですか!?」
待ち惚けのストレスから、強めの口調でリュカに当たるウルフ。
「何って…ナンパだよ。あれ、言わなかったけ?」
リュカは女物の香水の匂いを漂わせながら、みんなの元へと戻って行く。
「お父さん…本当にナンパをしてたの?」
その場にいる全員から、冷たく蔑んだ目で睨まれるリュカ…
「い、いや〜…その〜…だ、だってそう言って出て行ったでしょ!最初っから伝えておいたじゃんか!何で今更そんな目で睨むの!?」
流石のリュカも、この視線にたじろぎ後ずさる。
そんなリュカを軽蔑した目で睨んでいた神官が、もう1人の存在が見あたらない事に気付き、リュカへ質問をする。
「貴方と一緒に出て行かれた方は、どうしましたか?…一緒に行動をしていたのではないのですか?」
2人出て行き、1人帰る…
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