第八十二部第二章 国債その二十六
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「戦う」
「そうされますね」
「それしかないからな、だからな」
「次の防衛ラインにオムダーマン軍が来るまでに」
「防衛ラインをだ」
それをというのだ。
「築こう」
「それでは」
「戦う」
こう言ってだ、フラームはアブーと共にティムール軍を次の防衛ラインにまで撤退させていった。その中で。
兵達はそれぞれの乗艦の中で暗い顔になっていた、ある駆逐艦の中では若い兵士達が艦内の修理作業を行いつつ話していた。
「えらくやられてるな」
「全くだな」
「巡航速度で動けてるのが奇跡だな」
「そんな状況だな」
「魚雷受けて撃沈されるかと思ったしな」
「幸いそうならないで」
「それで巡航速度で動けるんだ」
それがというのだ。
「俺達は運がいいな」
「結構沈められたしな」
「本当にやられたな」
「どれだけ叩きのめされたんだ」
「やばい位にやられたな」
「その中で中破で済んだとかな」
それはというのだ。
「本当に運がよかったぜ」
「じゃあここはな」
「運よく助かってな」
「それでな」
「ここまで来られるとか」
「この艦で死んだ奴もいないんだ」
兵士達はこのことも話した。
「だったらな」
「次の戦いでも助かりたいな」
「そうだよな」
「しかしな」
ここである兵士が言った。
「俺達の状況はな」
「惨敗だな」
「そのことは否定出来ないな」
「どうしても」
「何であんなに負けたんだ」
「急に攻撃受けてな」
「後ろや横から」
彼等から見て全く訳のわからない奇襲のことを話した、それは彼等にとってはまさに正体不明の攻撃であった。
それでだ、彼等も話すのだった。
「あれは誰がやった」
「誰がやったんだ」
「俺達の船も魚雷受けたしな」
「駆逐艦なら普通轟沈だな」
「一発でな」
「そうなっているけれどな」
「よく中破で済んだぜ」
まさにというのだ。
「しかも巡航速度で進めるとかな」
「次の戦いはどうなるか」
「どうなるかわからないぜ」
「正直この艦目的地まで無事に行けるか」
「それも心配だな」
「どうもな」
こう話すばかりだった、今この駆逐艦の兵士達は自分達の運のよさに感謝すると共に戦局のことも考えていた。
その彼等にだ、三十代位の軍曹が来て言ってきた。
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