第百二十六話 ロック、狼を知るのことその三
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「本当にね」
「はい、それではです」
「我等はこれからは」
「劉備達と一緒にやっていくわ」
こう話してだった。孫策は政の話をするのだった。
そしてその孫家の庭でだ。孫尚香もだ。小次郎や鷲塚と話をしていた。
小次郎は満足した顔でだ。こう孫尚香に話す。
「見事願いを果たしました」
「そう。よかったじゃない」
「はい、私自身の願いは」
「そうね。ただね」
「ただとは?」
「貴女の名前だけれど」
小次郎を見てだ。そのうえでの言葉だった。
「本名じゃなかったのね」
「すいません、それにです」
「女の子なのはわかっていたわ」
それはだというのだ。
「それはね」
「そのことはなのですか」
「だってね。仕草でわかるから」
孫尚香は勘がいい。その勘で見抜いたのである。
「それに急に驚いた声挙げたりしても」
「おなごのものじゃったからのう」
そのことは黄蓋も言ってきた。彼女もいるのだ。
「それではわかるわ」
「うっ、そうでしたか」
「貴女は素直なのよ」
孫尚香はにこりと笑って小次郎を見上げて述べた。
「だからすぐにわかったわ」
「左様でしたか」
「それでだが」
今度は鷲塚が小次郎に声をかけてきた。
「真田君、君はもう」
「姿を偽る理由はない」
「そうだ。もうその必要はない筈だが」
「いや、新撰組でいる間は」
その間はどうかというのだ。
「私は真田小次郎だ」
「そう言うのか」
「そうさせて欲しい」
「誠故にだな」
「私もまた誠を信じる」
小次郎は顔をあげた。そうしてそこにあるものを見て話す。
「それ故にだ」
「だからなのか」
「少しの間だけそうさせて欲しい」
あげたその顔を伏せさせ目もそうしてあった。小次郎は言った。
「話は聞いた。徳川の世は終わる」
「そして局長も副長も」
「しかしだ。新撰組でいる間はだ」
「君はその名で生きるのだな」
「新撰組零番隊隊長としてな」
「そうするのか」
「鷲塚さん、貴方と同じだ」
あえてだ。新撰組の呼び名で言ったのだった。
「私もまた新撰組なのだから」
「わかった。ではだ」
「もう少しだけ」
「そしてそれが終わってからは」
どうするか。鷲塚は己の傍らにいる彼女を見て告げた。
「二人で暮らさないか」
「何っ!?」
「そのだ。二人でだ」
言ってすぐにだった。視線を少し伏せて。顔を赤くさせて言うのだった。
「暮らさないか。ずっと」
「その言葉は」
「君さえよければいい」
また言う鷲塚だった。
「私は待つ。君をだ」
「鷲塚さん、貴方は私を」
「最初は真田君への友情だった」
その真田かはあえて言わなかった。その必要はなかった。
「だが今はだ」
「違うというのか」
「変わった」
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