第百二十六話 ロック、狼を知るのことその二
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「ですが船です」
「それが足りません」
「船ね。赤壁での戦いに備えてかなり造ったけれど」
「それを交州に回すべきかと」
「そう考えます」
二人がこう上奏するとだ。孫策もだ。
考える顔をしながらだ。こう答えたのだった。
「わかったわ。それじゃあね」
「はい、ただそれはです」
「戦が終わった後で」
「そうね。今船は置いておいた方がいいわね」
二人の言葉にだ。また頷く孫策だった。
そしてその主にだ。張紘が言った。
「南方での戦いも考えられます」
「ええ。赤壁と同じ様にね」
戦の話になりだ。孫策の顔に政の話の時とはまた違った緊張が入った。
そしてだ。彼女はこう言うのだった。
「またああした戦も考えられるわね」
「北は馬ですが南は船です」
張紘はこの国の地形から話した。
「黄河と長江では違います」
「そうなのよね。私もそのことは都に入ってそれで実感できたわ」
揚州にいてはそこまではだったのだ。
「話には聞いていたけれどね」
「はい、肌で実感されてこそです」
今度言ったのは張昭だった。
「それであらゆることが確かになります」
「そうね。本当にね」
「では今は」
「港だけ整えましょう」
船を置くだ。そこをだというのだ。
「そして戦が終わればね」
「はい、劉備殿ともお話して」
「そのうえで決めましょう」
「次の帝になるのは劉備だからね」
既に太子となっている。それならもう決まっていることだった。
「帝もことが終われば劉備に位を譲るって言われているし」
「劉備殿が帝ですか」
「それなら国は安泰ですね」
「あの娘はあれなのよ」
微笑む顔でだ。孫策はその劉備について話した。
「本人は気付いていないけれど傍にいたらね」
「その力になりたくなる」
「そうした方ですね」
「そうなのよ。不思議にね」
それが劉備だというのだ。
「ただ。それがね」
「この世界にとっては」
「いいことですね」
「乱れかけていた世が一つに戻ったわ」
まずはそうなったというのだ。
「そしてそのうえでね」
「はい、今度は魔を倒し」
「まことの意味での泰平を」
「もたらすのがあの娘なのよ」
劉備の持つだ。不思議な魅力によってだというのだ。
「自然と力になってあげたくなるからね」
「私は当初です」
「私もです」
張昭と張紘はここで孫策に対して真剣に述べた。
「天下に泰平をもたらすのは大殿と思っていました」
「そして雪蓮様だと」
「私もある程度まではそう思っていたわ」
真面目な目でだ。孫策は話す。
その席に足を組み座り腕を組みだ。何時になく真剣な面持ちである。
「けれどそれはね」
「劉備殿だった」
「そうだったとは」
「私は揚州、そして交州」
彼
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