第三十八話 嫌な奴もいないその十二
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「芸術家になり完璧主義にもなってな」
「ああした風になったんだね」
「いきなり世に出てしかも幕府の頂点だ」
「将軍様の次に偉い」
「そうなるとな」
「色々思って」
「幕府にはそこまでしてもらったとだ」
その様にというのだ。
「思っただろうし井伊家自体がだ」
「あの家がなんだな」
「赤備えで幕府を真っ先に護る家とされてきたからな」
「それでか」
「そうだ、余計にな」
「幕府に尽そうとして」
「暴走してな」
安政の大獄や開国でというのだ。
「あれだけのことをしてな」
「最後はか」
「ああなった」
桜田門外の変で首を取られたというのだ。
「そうなった」
「だから董卓とは全然違うんだな」
「董卓は野心家で皇帝になろうとしてだ」
自らだ。
「そもそも教養はな」
「なかったよな」
「勘はよく頭も切れたと思うが」
それでもというのだ。
「基本は暴虐でだ」
「贅沢が好きだったんだな」
「後の時代に出て来る様な奴だった」
「後って何時だよ」
「五胡十六国時代や南北朝時代だ」
三国志の後のこうした時代だというのだ。
「晋の後のな」
「そういえば晋が統一してな」
成海が言ってきた。
「それですぐに滅んだよな」
「そうだったな」
越智も応えた。
「教科書でもあるな」
「ああ、八王の乱でな」
「滅んでな」
「後はそうした時代だったな」
「どちらの時代も滅茶苦茶でな」
「董卓みたいな奴が出たのか」
「それも数えきれないだけな」
そうした時代だった、中国の長い歴史の中でもこれ程暴虐の人物は出たことがなかったと言っていい時代であった。
「出て来たが」
「董卓はその時に出て来ても不思議じゃなかったんだな」
「野心家で酒池肉林を楽しんで暴虐だったからな」
「それでなんだな」
「ああした時代に先駆けてだ」
そうしてというのだ。
「出たと言ってもだ」
「おかしくなかったか」
「そうだった、井伊直弼さんとは違う」
またこう言うのだった。
「元々芸術家で文人だったあの人とはな」
「同じ悪役でも違うんだな」
「そうだ、しかし嫌われていることはな」
「同じか」
「三国志で一番嫌われているのはおそらく董卓だな」
「案外曹操さんは人気あるよな」
この人物はというのだ。
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