第三十八話 嫌な奴もいないその十
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「そうだな」
「義経さん殺したしな」
「他にも色々だな」
「木曽義仲さん殺させてな」
他ならぬ義経に対して討たせていた、自身は鎌倉にあって政を執りそのうえで軍を彼に預けてのことだった。
「人質だった子供さん殺してな」
「平家も滅ぼしてな」
「捕まえた者は根絶やしにした」
「それで義経さんもな」
「義経さんの子供も殺した」
静御前との間に生まれた息子である。
「川に沈めた」
「子供でも容赦しないな」
「信長さんは助けたこともあったがな」
粛清した弟信行の遺児を幼少を理由としてだ。
「そうしたがな」
「あの人は殺したな」
「そして奥州藤原氏もだ」
「滅ぼしたな」
「御家人でも何かあるとな」
その時はというのだ。
「粛清した」
「本当に邪魔な人は皆殺したな」
「そんな人だったからな」
「不人気なんだな」
「そうだ、清盛さんは敵も赦した」
「頼朝さんにしてもな」
義母に言われてだがそうしたことは事実だ。
「そうした」
「悪役に言われてるけれど」
達川も言ってきた。
「それでもだよな」
「清盛さんは助けた」
「そうだよな」
「敵はあまり殺していない」
「島流し位か」
「そうしている」
「何かいい人だったっていうけれど」
達川は考える顔で述べた。
「実際にか」
「あの人はな」
「そうだったんだな」
「戦国時代でもあそこまではな」
頼朝の様にというのだ。
「殺した人はそうはいないと思う」
「ある意味凄いな」
「日本の歴史上屈指の冷酷さだったからな」
頼朝、彼はというのだ。
「今もだ」
「嫌われてるんだな」
「そして井伊直弼さんもな」
「冷酷だったからか」
「刑罰を重くまでしてだ」
評定所の判決をだ。
「普通は軽くするがな」
「徳川幕府はな」
「そうしていたところをな」
まさにというのだ。
「そうしていたからな」
「当時から嫌われていたんだな」
「赤鬼と呼ばれていたらしいな」
「赤鬼?」
古田はそう聞いて首を傾げさせた。
「冷酷だからか」
「それもあるが井伊家だからな」
「それでか」
「井伊家は赤備えの家だった」
越智はこのことも話した。
「その武具も旗も全部赤だった」
「何か武田家みたいだな」
「その武田家にあやかってな」
「それでか」
「全部赤にしていた、だからだ」
そうした家の主だったからだというのだ。
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