第三十八話 嫌な奴もいないその七
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「実はだね」
「そう、剣術も凄くて」
留奈はさらに話した。
「写真見てあの顔もね」
「好きなんだ」
「私としてはイケメンに思えるから」
坂本龍馬はというのだ。
「かなりね」
「好きなんだ」
「そうなの、暗殺されて」
「残念なんだね」
「本当にね」
「暗殺と処刑どっちがまし?」
こう言ったのは理虹だった。
「一体」
「それ難しいわね」
留奈は首を傾げさせて応えた。
「正直言って」
「私が幕末維新で好きな人吉田松陰さんだけれど」
「処刑されてるわね」
「井伊直弼にね」
大老であった彼によってだ、幕府は判決より刑罰を軽くするものだったがこの大老はそれを逆に重くして彼も処刑されたのだ。
「そうなったのよ」
「ああ、安政の大獄ね」
「あいつもね」
「あんた井伊直弼嫌いね」
「大嫌いよ」
理虹は否定しなかった。
「あんな素晴らしい人を処刑したんだから」
「松陰さんを」
「松陰さんを暗殺するなんて」
それこそというのだ。
「天下の損失だったわ」
「実際にあの大獄凄い人材殺されているからな」
こう言ったのは越智だった、今度はチョコレートケーキを食べている。
「井伊直弼のせいで」
「そうでしょ」
「あれは酷かったな」
「正直暗殺されてざま見ろよ」
桜田門外の変でというのだ。
「もっと早く死ぬべきだったのよ」
「あの人人気ないな」
「あったら凄いわよ、うちの学校日本中からも人集まるけれど」
世界中からだけでなくだ。
「滋賀県でも彦根の人でもないと」
「地元でもないとか」
「好きじゃないわよ」
滋賀県民でもというのだ。
「というかあの人無茶苦茶口五月蠅くて」
「完璧主義者だったそうだな」
元々陶芸や茶道、居合に打ち込んでいた。和歌にも造詣が深く芸術家の素養はかなり備えていたという。
「あの人は」
「そうだったの」
「ああ、学問も好きでな」
「只の独裁者じゃなかったのね」
「基本はな」
「私にとっちゃ嫌な奴でしかないけれど」
理虹は実際に嫌なものを語る顔で話した。
「違ったのね」
「元々はな」
「芸術家で学者さんだったの」
「というかあの人元々藩主になれなかったんだよな」
達川が言ってきた。
「時代劇とかで言ってたけれど」
「そうらしいな」
越智は達川のその言葉に応えた。
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