敢闘編
第五十五話 アムリッツァ星域会戦(前)
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国軍、
ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
現在我々はアムリッツァ星系の第五軌道を周回する小惑星帯に潜んでいる。恒星アムリッツァの近くを通りチャンディーガルに向かうと見せかけ、そのままチャンディーガル、カイタルの周回軌道を通過して、敵の後続艦隊がチャンディーガル付近に来るのを待っている、という寸法だ。うまく行けば敵艦隊の後方から奇襲をかけられるが、おそらく敵はチャンディーガル付近で合流するだろう。その前にどちらかを叩かねばならないが、初戦の第十一艦隊を撃破した時の様に上手くいくかどうか…予想される敵の合流時間次第では、奇襲をせずアムリッツァ星系から撤退せねばならない。
「お疲れではないですか、ラインハルト様」
キルヒアイスがコーヒーを淹れて持って来てくれた。
「いや、一時間だけだがタンクベッドで休む事が出来た。充分とはいかないが、休む事は出来たよ。キルヒアイスこそ疲れてないか」
「いえ、私は大丈夫です…叛乱軍は失敗しましたね。八個艦隊全てでここに来ていれば、各艦隊が各個撃破される、という状況に陥る事もなかった」
「ハハ、撃破できたのはまだ一個艦隊だけだがな…奴等の艦隊は総数十二個だ。そのうち四個艦隊はイゼルローン要塞の攻略、その攻略が終わり待機させていた八個艦隊を送り込んで来た。確かに回廊を攻略され、帝国本土に侵入される…未だかつてない危機に見えるが…」
「作戦参謀ラインハルト少佐はそうは思わない、これは好機だ、と」
「茶化すなよ…だがそうだ。イゼルローン攻略に参加した敵は再編成に入る…という事は敵の兵力は八個艦隊…七個艦隊のみだ。再編成中の艦隊を投入しても九個艦隊がせいぜいだろう。此方が軍を編成するのに一か月から二か月、このアムリッツァ星系まで大体一か月…およそ三か月から四か月の間に叛乱軍の侵攻はヴィーレンシュタインかシャンタウに到達するだろう。ここで叛乱軍を討つことが出来れば、奴等の残存兵力は三個から四個に激減する。さらなる反撃も可能だ」
「イゼルローン要塞を取り戻す、と」
「ああ。だがこれは俺が宇宙艦隊司令長官の職にある場合の話だ。現状ではこうはならんだろう。忌々しい事だが現状では作戦遂行能力は叛乱軍の方が上だ。全て準備して来ているのだからな」
「はい。叛乱軍は我々を迎え撃つという国土的条件があります。常に我々に備えればなりません。それが逆に転じた場合、準備は素早く行えるでしょう」
「そうだ、防御用に使う資材を攻勢目的に使うだけだからな。だが帝国は違う。軍の派遣、編成それ自体が政治的判断を伴う。まあ、政府、大貴族の利害関係、派閥争いの類いだがな」
「はい、その通りです」
「叛乱軍とて利害関係の調整はあろうが奴等には専制政治打破という国是がある。我々に対する軍事力の行使とい
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