敢闘編
第五十五話 アムリッツァ星域会戦(前)
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一方的に壊滅した。
「少佐、通報艦エルベWとラーボエからの連絡だ。敵の後続艦隊はアムリッツァ星系の星系公転面両端を索敵しつつこちらに向かっている様だ。我々が撃破した艦隊の座標を見失っていた様だな。一つはマルガオ方面、もう一つの艦隊は反対側のチャンディーガル方面にいる」
お互いの距離が近いのはマルガオ方面の敵だ。そちらを撃破したいが、問題は撃破した第十一艦隊が後続艦隊に我々の事を通報しているかどうかだ。通信妨害の措置は充分に行っているが、それ自体が我々の存在を示唆しているから、後続の敵は索敵範囲を拡げたのだ。我々の座標が送られていたら、敵は我々を挟撃すべくここに向かってくるだろう。どうするか…。
12月11日15:00
アムリッツァ星系(イゼルローン回廊側)、第四惑星カイタル上空、自由惑星同盟軍、第二艦隊、旗艦メネラーオス、
ジェフリー・ルーカス
”至急、来援ヲ乞ウ、第四惑星カイタル、第十一艦隊”
単純な通信文だった。非常に不利な状況なのだろう、一方的に奇襲でも受けたか…。第十一艦隊に簡潔に急行している旨を返信する。第三艦隊にも状況を送信するが、どちらからも返信はない…通信妨害のせいで長距離の通信はやはり厳しい様だ。
”了解シタ、我ガ艦隊既ニ敗北的状況、至急来援ヲ乞ウ。第十一艦隊”
第十一艦隊から返信があった。先程の通信を受けてから二時間半しか経っていなかった。やはり一方的な奇襲を受けたのだ。敗北的状況…まだ負けてはいないのか、とりあえずカイタルに急がねば…。
そして今。
第十一艦隊との合流を果たしたものの、彼らは損傷した旗艦メガイラ以下七隻の戦艦、という状態になっていた。此方からの急行の報は届いていたものの既に状況は敗北に移行しつつあり、返信が遅れたのだそうだ。敵艦隊がチャンディーガル方面に去っていくのを確認後、損傷艦からの生存者の収容などを行いつつげ現在位置に留まっていたのだという。ホイヘンス提督も負傷していた。
“敵ながら見事な奇襲だった…不甲斐ない戦いをした。死んだ者達になんと詫びればよいか”
「…艦隊司令部が無事だっただけでも良しとしなければなりません。百隻ほど護衛をつけます、第一艦隊に合流して下さい」
“ありがとう…敵はチャンディーガル方面に向かった様だ。武運を祈る”
右腕を吊っている為、左手で敬礼したホイヘンス提督の顔は蒼白だった。むざむざと味方を死なせた事、命令違反…彼の軍人生命は断たれたに等しい。提督は一瞬何か言いたげな顔をしたが、通信は切れた。
「敵はチャンディーガル方面に向かっている。追撃開始だ参謀長、艦隊右三十度回頭、全艦戦闘配置のまま進撃開始」
「はっ」
12月11日18:00
アムリッツァ星系、第五軌道(小惑星帯)、銀河帝
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