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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第129話:責任と共に生きる
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う」

 ガルドに優しく促されて立ち去る2人の後ろ姿を、弦十郎とクリスが見送った。

「全く……」
「……先輩が手を引かなくたって、いっちょ前に歩いていきやがる」

――アタシとは、違うんだな……――

 着実に自立への道を歩んでいる後輩2人の姿に、クリスは何処か負けたような気持になった。

 もし仮に、自分から手を引いてくれる者が居なくなったら? 透が自分の前から居なくなってしまったら、自分は前に進む事が出来るだろうか?
 答えは無理だ。透や、近しい者が居なくなってしまった世界なんて考えられない。

 クリスは離れていく切歌と調の後ろ姿に、自分が2人よりも弱い人間であると気付かされずにはいられなかった。




 クリスが1人気落ちしている何てこと知る由も無く、2人はガルドと共に夕日に照らされた道を歩いていた。

「……足手纏いにならない事。それは強くなる事だけじゃない。自分の行動に責任を伴わせる事だったんだ」
「責任……自らの義に正しくある事…………でもそれを正義と言ったら、調の嫌いな偽善っぽいデスか?」
「……ずっと謝りたかった。薄っぺらい言葉で、響さんを傷付けてしまった事を……」

 浅はかな過去の行いを悔いる、いや悔いていた調。今になれば、あの時颯人に言われていた言葉も理解できる。豪い目に遭わされはしたが、過去に自分がどれだけ酷い事を響に言ったのかを考えるとあれでもまだ甘い罰の様に思えた。
 尤も颯人は罰を与えたなんて微塵も思っていないだろう。彼は純粋にあの場で調の勘違いを正そうとしてくれただけなのだ。ただやり方が飛び抜けていただけで。

 そんな調の肩に、切歌が手を当てて正面から向き合った。

「ごめんなさいの勇気を出すのは、調1人じゃないデスよ」

 そう言って切歌はコツンと調の額に自分の額を当てると、安心させるように笑みを浮かべた。

「調を守るのはアタシの役目デス!」
「切ちゃん……ありがとう――!」

 微笑み合う2人を見て、ガルドは肩から力を抜くと2人の肩に優しく手を置いた。

「こらこら2人とも。俺やセレナ達を忘れてもらっちゃ困るぞ」
「ガルド?」
「2人とも、今回は多くを学べたな。責任を取る事、誰かに素直に謝る事は大事だ。だがそれは誰かに甘えちゃいけない事を意味する訳じゃない。お前達の後ろには、2人を支える俺やセレナみたいな大人が居るって事を忘れるな?」

 ガルドが指さした先には、先程ガルドが魔法で送り届けた買い物袋を持ったセレナが手を振っていた。

「さぁ、帰るぞ。今日は2人とも頑張った事だし、俺とセレナが腕によりをかけてご馳走を作ってやる!」
「ホントデスか! わーい!」
「ガルドとセレナのご飯、楽しみ!」

 喜び勇んで駆け出し
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