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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第129話:責任と共に生きる
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止めた。

 九死に一生を得た形になる切歌だが、彼女が調に対しまず抱いたのは反感であった。

「何でッ!? 後先考えずに庇うんデスか!?」

 切歌は不満を口にしながら調を思わず突き飛ばしてしまう。そうなると今度は調が切歌に反感を抱く。

「やっぱりッ!? 私を足手纏いと――――」

 敵や大人達だけでなく、切歌ですら自分を足手纏いと扱うのかと睨む調だったが、少なくとも切歌が抱いているのは別の感情であった。

「違うデス!? 調が大好きだからデス!!」
「……え?」

 切歌の口から出た言葉に唖然とする調を置いて、切歌はミカと切り結び始めた。ミカも切歌に合わせるように、長い棒状のカーボンロッドで迎え撃つ。

 距離が近ければ対抗できるのか、切歌はミカと何度も打ち合い相手の攻撃を回避した。
 その攻防の最中、切歌は調への想いを口にした。

「大好きな調だから! 傷だらけになる事が、許せなかったんデス!」

 切歌の口から放たれる言葉は乾いた砂に水が浸み込むように調の心に響いた。

「じゃあ、私は……」
「私がそう思えるのは、あの時調に庇ってもらったからデス。皆が私達に怒るのは、私達を大切に思ってくれてるからなんデス!」

 一見大人しく大人びて見えるのは調の方だが、物事を思慮深く捉えているのは切歌の方だった。周囲の反応を悪い方にばかり捉え、自分を卑下する調と違い切歌は大人たちの考えを正しく捉えていたのだ。

「私達を、大切に思ってくれる……優しい人達が……」
「そうだぞ、調……」
「ガルド!」

 気付けば調の傍には、自力で瓦礫の中から脱出したのかガルドが槍を杖代わりにして立っていた。その顔は傷だらけとなった仮面に隠れて見えないが、それでも優しい目を自分に向けてくれている事だけは分かる。

「お前や切歌が焦る気持ちは分かる。そう言う気持ちは誰もが一度は抱くもんだ。だが、どう足掻いてもお前達がまだまだ子供なのは動かしようのない事実だ。分かるな?」
「うん……」
「だから、俺達大人がお前達を大事に守るんだ。お前達が一歩一歩、着実に進んで立派になれるようにな!」

 調を優しく諭したガルドは、言いたい事は言い終えたと切歌に加勢してミカと戦い始めた。今度は切歌を援護するような戦い方に、ミカも反撃する隙を失い顔から余裕が無くなっていく。

 それでも戦闘力最強のオートスコアラーと言う評価は伊達ではないのか、一瞬の隙を突かれて切歌が調の傍まで吹き飛ばされる。

「うあぁぁぁぁぁっ!?」
「切歌ッ!? くっ!?」

 吹き飛ばされた切歌に追撃が向かわないようにと、ガルドは節々が痛む体を無理矢理動かしてミカの攻撃を受け止める。

「ぐぅ、くっ……!?」
「そんなボロボロで、勝てる
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