第八十二部第二章 国債その二十三
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「まことに」
「左様ですね」
「そのことを思うと」
非常にというのだ。
「今回の敗北は痛い」
「ティムールにとっても」
「そして兄上もな」
「このことをご存知になれば」
「無念に思われる」
「そのこともですね」
「辛い」
それも非常にというのだ。
「そうなる」
「左様ですね」
「領土も多くな」
「一時にしても」
「放棄せざるを得ない」
「それもまた」
「非常に辛い」
こうアブーに述べた。
「我々にとってな」
「戦局に」
「悪影響を与えている」
このことも事実だというのだ。
「深刻なまでにな」
「全くですね」
「戦局に影響を与えたことは事実だ」
「だからこそですね」
「これからの挽回が重要だが」
「それが出来るのは」
「やはり兄上だけか」
シャイターン、彼だけだというのだ。
「やはり」
「左様ですね、私達ではです」
アブーはフラームに苦い声で述べた。
「残念ですが」
「兄上の様にはな」
「戦えませんでした」
「今我々は全速力で撤退しているが」
「防衛線まで」
「そうだ、だがだ」
それでもというのだ。
「オムダーマン軍もな」
「全速力で、ですね」
「来ている」
オムダーマン領を進撃してきているというのだ。
「今彼等を阻むものはないからな」
「それだけにですね」
「機雷は撒布しているが」
それでもというのだ。
「それではな」
「強い足止めにはならないですね」
「そうだ、精々多少の嫌がらせだ」
機雷の撒布はというのだ、こうしたことはサハラにおいてはごく普通に行われていることであるからだ。
「だからな」
「それではですね」
「我々は追い付かれない程度にな」
「撤退していますね」
「幸い船足は速い」
軍の速度はというのだ。
「だからだ」
「撤退自体は慎重ですね」
「そうだ、だからだ」
「それで、ですね」
「この速度なら次の防衛ラインまで退くことが出来る」
「敵に追い付かれずに」
「それで出来るが」
フラームはアブーに話した。
「しかしな」
「それでもですね」
「兄上が戻られないなら」
「再びですね」
「敗れるだろう」
「次の防衛ラインでも」
「兄上を落胆させると思うと無念だが」
自分達の失態でというのだ。
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