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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
一本のヒット
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(まずはストライクを確実に取るよ。ストレートを丁寧にね)
(オッケー)

無難なアウトコースへのストレート。これに明里は反応しかけるが見送り1ストライク。

(見るに徹しきれてないね。ならこの打席は動かした方(・・・・・)が有効かな)

サインを受け取るや否やすぐに投球へと入るソフィア。彼女のテンポの速さはよくわかっていたため、明里も構え遅れないように待ち構えている。

彼女の右腕から投じられたのは先ほどとほとんど同じコース、高さへのストレート。

(さっきと同じボール!!これは打てる!!)

同じようなボールを打ちに行く明里。イメージ通りのスイングでストレートを叩いた彼女だったが……

「ん?」

捉えた瞬間、いつもとは違う感覚に気が付いた。

「ショート!!」

打球はボテボテのショートゴロ。しかし打球は面白いほど詰まっている。明里は違和感を覚えたものの内野安打を狙える打球を見て一塁へと走り出す。

(ギリギリだけど……)

緩い打球に突っ込む蜂谷。彼女はそれを捕球するとジャンピングスローで送球。ギリギリなタイミングに明里は頭から飛び込むものの、一塁審判の右手は挙げられた。

「くそっ……」

思わずベースを叩きそうになる衝動を抑え、冷静になろうと深呼吸を行う明里。彼女はゆっくりと立ち上がると、左足に違和感を覚えた。

(うっ……またか……)

左足首に感じる違和感。しかし生真面目な彼女はそれを悟られないようにと痛みを堪えながらヘルメットを外し、仲間に持ってきてもらったグローブと帽子を身に付ける。

「なかなか打てないね、なんでだろ」
「たぶん……原因わかったかも」
「え?」

ファーストの守備へとやってきた葉月の言葉にそう答える明里。彼女の予想外の答えに葉月はキョトンとしていた。

「この回が終わったら伝える。まずは守りきろう」
「オッケー。頼むよ」

ユニフォームの土を払いレフトへ向かう明里。その後ろ姿を見ていた葉月は首をかしげた。

「明里……またやったの?」

彼女は何も言わなかったがその走り姿にわずかな異変に覚えた葉月はベンチに視線を送ろうとしたがグッと抑える。

(ここで明里が抜けたら逆転まで漕ぎ着けないかも……悪いけどここは頑張ってもらうか)

















「ストライク!!バッターアウト!!」

バットに当てることすら叶わず悔しさを滲ませるツインテールの少女。前の回の失点を引きずることなくこの回を三人に抑えた瑞姫は軽快にマウンドを降りていく。

「全然引きずる様子はなし……ねぇ。一年生のわりにずいぶんと太い神経してんなぁ」
「ソフィアといい勝負ですね」
「ははっ、
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