第三十四章 世界が変わらずあることに
[6/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
その瞬間、
「うおおおおおおおりゃっ!」
どおん!
荒々しい少女の雄叫びと共に、重機の衝突にもびくともしなさそうに見える頑丈そうな扉が簡単に破られていた。
扉が倒れて、地響きを立てた。
ぐしゃり歪んで倒れている扉を踏み付けているのは、白銀に青い装飾の魔道着を着た、ポニーテールの少女であった。
その後ろには、白銀に紫装飾の魔道着を着た、肩までの黒髪をおでこ真ん中で分けた少女。
昭刃和美と、明木治奈だ。
「ここにいたか。……やっぱり、生きていやがったか……」
昭刃和美は巨大な蜘蛛を睨み付けると、扉を踏み付けたまま両手に握るナイフの柄にぎゅっと力を込めたた。
3
蹴り破った扉を踏み付けて、カズミと明木治奈が肩を並べている。
「やっぱり、生きていやがったか……」
カズミは、取り出した二本のナイフを両手に握りながら、目の前にいるシロクマほどもあろうかという巨大な蜘蛛を睨み付けた。
「いや、間違いなく死んでいたのだが」
至垂徳柳の顔に、意地の悪い笑みが浮かんだ。
「なにいってやがんだ」
カズミは、ふんと鼻を鳴らした。
元々、自分だけの世界で言葉をまくしたてる至垂である。会話の噛み合わないことが多く、まともに取り合っても神経をすり減らすだけだから。
カズミは腰を低く落とし、身構える。
隣の治奈も戦闘態勢だ。半歩引いて、カズミを援護するような斜め後ろに立って、両手に槍の柄を握った。
「令堂和咲くんは?」
至垂が尋ねるが、
「てめえらごときに、出る幕じゃねえとよ」
カズミは、すっぱり吐き捨てた。
すっぱり、ではあったが嘘である。
アサキは疲労の蓄積に倒れてしまい、昏々と眠り続けるアサキを置いて、治奈と二人でここへきたのだ。
至垂の死体がなくなっていたその理由を確かめるために、巨体を移動させたと思われる地面の跡を辿って。
生きているなら倒すため。
最悪、殺すため。
アサキは追わなくていいといっていたが、そうもいかないからだ。
神になりたいのだからこの宇宙を滅ぼすことはないだろう、とアサキは少し楽観論だったが、もし仮に自暴自棄にでもなったならばなにをするか分からないではないか。
だから、ここへきたのである。
朦朧とした意識の中で一緒に行きたがるアサキをヴァイスに任せて、カズミと治奈の二人で。
どちらにしても、ヴァイスはアサキを守ることしか関心なく、アサキを置いていく以上は自分も残
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ