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魔法使い×あさき☆彡
第三十四章 世界が変わらずあることに
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なにお客さんは入っていないようだけど、でも、まあまあ入ってはいるのかな。
 よかった。

 ヘラを持ち、汗だくで鉄板と具材と睨めっこしている父。
 妹、(ふみ)()もいる。小さな身体でテーブルの間を縫って、お皿を運んだりしている。

 フミ、ちっちゃいくせにしっかり働いておるな。
 いつか焼きを覚えて、お婿さんでもとるのかな。
 ああ、常連客も何人かおる。

 ほっとした。
 みんながいることに。
 世界が変わらずあることに。

 うち、守ったよ。
 みんなを。
 世界を。
 これからも、守り続けるよ。
 いつまでも。
 ほじゃから、安心してね。

 笑いながら、
 いや、笑えているのかは分からないけど、とにかくそおっと手を伸ばした。
 フミ、世界で一番大切な、妹へと。

 重ねた皿を持って厨房へ戻ろうとしている史奈の背中へと、伸びる手があとほんの僅かで触れそう、というところで、

 (あきらぎ)()(はる)()の意識は、光の風にさらさらと粉になって、吹き飛んでいた。
 妹のいる世界を守ったのだという満足の中、魂の粒子は風に溶けて消えた。

     7
 ぜいはあ、息を切らせている。
 激しい疲労感の他に、驚きや悲しみ、怒り、様々な負の色がごっちゃとひしめきあった、やつれた顔で。
 そんなどっと寄せる感情を全然処理出来ず、赤毛の少女、(りよう)(どう)()(さき)は、ただ茫然自失といったふうに立ち尽くしていた。

「アサキさん、そんなに急いで。無茶したらいけないと、いってるでしょう」

 背後から、幼くも落ち着いた声。
 扉を抜けてこの大きな部屋へと入ってきたのは、ふんわりした白衣装を着たブロンド髪の少女ヴァイスだ。

 掛けられた声に気付いているのかいないのか、アサキは正面を向いたまま汗ばんだ拳をぎゅっと強く握り締めた。

 まるで体育館、といった高い天井の広大な部屋だ。
 一方の壁の下には、青い魔道着姿のカズミが倒れている。
 意識はあるようだが、生死に関わるようなかなりの痛手を受けているのが分かる。全身傷だらけどころか、骨という骨が折れていそうな酷い状態だ。

 アサキの正面には、床が大きくえぐられて地面が露出している。
 直径が三十メートル以上はある、巨大な円状だ。魔法陣を使っての、魔法の痕跡であること、ひと目で明らかだった。

 アサキは陥没した淵に立つと、ゆっくり滑るように降りていった。まだ体力がまるで回復しておらず、ふらふらと頼りなく。

 傾斜の途中に、焼け焦げてほぼ炭化した物体があった。
 反対側の斜面にも、そのすぐそばにも。
 僅か残った衣服の切れ端から、おそらくアインス、ツヴァイ、ド
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