第八十二部第二章 国債その十八
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「利子は殆どない」
「左様ですね」
「イスラムでは金を貸しても利子は求めない」
「それは付けてはならない」
「コーランでもそうなっています」
「流石にそれでは金融業は成り立たないからな」
銀行も利子で収入を得ている、それならば利子自体は認めなくてはならない。これは資本主義の鉄則だ。
だがそれでもなのだ、イスラムでは。
「その利子は低い」
「今回もそれは同じですね」
「戦費の利子は殆どない」
「だから借りた分だけ払えばいい」
「そういうことですね」
「そうだ、だからだ」
他の文明圏と違い利子のことまで考えずに済むからというのだ。
「いいのだ」
「このことは大きいですね」
「それも実に」
「借金はその多くが利子が問題になります」
「利子が支払えず破産する」
「そうした話が多いですね」
「他の文明圏はだ」
アッディーンはさらに話した。
「高利貸し、そしてヤミ金というものがある」
「ヤミ金とは非合法な高利貸しですね」
「法に定められた以上の利子を付ける」
「何でも十日で一割の場合もあるとか」
「途方もない利子ですね」
トイチ、この言葉はこの時代でも健在だ。
「サハラでは信じられません」
「想像も出来ないことです」
「十日で一割の利子なぞ」
「瞬く間に膨れ上がっていきます」
「そうなる、勿論犯罪だ」
非合法即ちそれになるというのだ。
「まさにな、しかしな」
「サハラではですね」
「その心配はない」
「ただ借りただけを返せばいい」
「そう考えると楽ですね」
「無論サハラでは高利貸しは犯罪だ」
サハラ各国の法がコーランに基づくからだ、コーランで禁じられているのならサハラ各国の法でもそうなるのだ。
「だからだ」
「それは許さずですね」
「徹底的に取り締まっていますね」
「文字通りに犯罪として」
「そうされていますね」
「不心得者はいる」
どうしてもという言葉だった。
「だからな」
「それで、ですね」
「高利貸しはサハラにもいる」
「そしてオムダーマンにも」
「だからこそですね」
「閣下もですね」
「取り締まっていてだ」
国家元首としてそうしているというのだ。
「許していない」
「これはコーランに関わります」
「何といいましても」
「それに反するならです」
「許してはならないですね」
「絶対に」
「私としてもな」
アッディーンもムスリムだ、それで言うのだ。
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