第三十八話 嫌な奴もいないその六
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「その近藤さんの壁みたいになった人だし」
「相当な人よね」
「ええ。ただ私としては」
かな恵は考える顔になってこう言った。
「新選組よりは志士の人達の方がね」
「かな恵は好きなの」
「特に好きなのは」
それはというと。
「西郷さんよ」
「西郷さん好きなの」
「あの器の大きさ痺れるわ」
かな恵はその目を輝かせて富美子に語った。
「あれこそ本当の英雄よね」
「あの人は確かに凄いわね」
富美子も否定しなかった。
「だから明治政府でも重鎮だったしね」
「明治帝も気に入っておられたのよね」
「厳しいことも言ったそうだしね」
明治帝にだ、そして明治帝も西郷のそうした言葉を入れられご自身を律されてきた。明治帝は自分に厳しい諫言をする者を好まれたという。
「それを見てもね」
「凄い人よね」
「そうね、ただ私はね」
「富美子ちゃんは?」
「幕末から維新の人だとね」
それならというのだ。
「新選組以外では伊藤博文さん好きよ」
「あの人女好きなのに?」
「確かにそうだったけれどね」
兎角そのことでは当時から有名であった。
「弁えていてしかもざっくばらんで細かいことにこだわらない」
「そんな人だったの」
「かなり痛快な人だったのよ」
「そうなの」
「誰にも気軽に話しかけて」
そうしてというのだ。
「大隈重信さんのお家にいつも来たり」
「あの早稲田大学の」
「あの人のお家に入り浸って」
このことも歴史にある。
「わしここに住むとかね」
「言ってたの」
「それで衣食住全然こだわらなくて」
極めて粗食で服も粗末で家の庭が荒れても笑って済ませていた。
「陽気でユーモアもあって」
「只の女好きじゃなかったの」
「どうもね」
「あの人女好きでもな」
古田が言ってきた。
「実は言われてるだけで創作の話多いそうだな」
「みたいね、実際は売れてない芸者さんとばかり遊んで」
富美子は古田にも応えて話した。
「スキャンダルにならない様にね」
「していたらしいんだよな」
「それで男の人はね」
「あれだよな、これって見たらスカウトしてな」
「国の要職に採用していたし」
「面白い人だったみたいだな」
「だから好きなのよ」
富美子にしてもだ。
「あの人ね」
「ううん、私は幕末維新の人なら坂本龍馬さんで」
留奈が好きなのはこの人物だった。
「暗殺されて残念だったけれど」
「残念だよね、あそこで暗殺されなかったら」
伊東がその留奈に応えた。
「歴史変わっていたかもね」
「そうよね」
「あんな凄い人だったから」
「実は強かったしね」
「北辰一刀流免許皆伝で」
「物凄く強かったのよ」
剣の腕も備えていたのだ。
「あれでね」
「短筒持って
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