第三十八話 嫌な奴もいないその五
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「それも切腹どころかな」
「打ち首だったよな」
「晒し首にされた」
打ち首の後でだ、坂本龍馬を暗殺したのはこの当時殆どの者が新選組の者達だと考えていてその報復で近藤を切腹させなかったという。
「無惨だった」
「それでだよ」
「そこに同情してか」
「悲しさが恰好よさと重なってな」
「人気が出たか」
「あと日本刀もいいしな」
武器もというのだ。
「如何にも武士って感じで」
「余計にか」
「人気あるんだろうな」
「そういうことか」
「ああ、しかし俺も驚いた」
古田はここでこう言った。
「芹沢さんは案外凄い人だったんだな」
「そうだよな、大物だったんだな」
達川もこう言った。
「人の上に立つべきというか」
「まとめられる人だったんだな」
「強くてな」
「そうした人だったんだな」
「時代劇とかじゃ酒乱なだけなのに」
「全く違ったんだな」
「考えてみたら只の酒乱が筆頭局長になれないわね」
かな恵も言ってきた。
「強くても」
「ある程度以上の資質がないと」
さもないとだ、富美子も話した。
「剣客揃いの集団まとめられないわね」
「実際清河八郎さん追い出されてるわよね」
かな恵は新選組を作ろうとした彼の名前を出した。
「あの人も強かったけれど」
「しかも策士って言われてたわよ」
富美子は清河のこの評価のことを話した。
「頭の回転もよ」
「よかったのよね」
「かなり凄い人だったけれど」
清河にしてもというのだ。
「その清河さんもね」
「殺されそうになって」
「逃げてね」
そうしてというのだ。
「追い出されてるわ」
「そうよね」
「その頃からまあそんな殺し殺されで」
新選組はというのだ。
「裏切り裏切られのね」
「ヤクザ屋さんみたいだったのね」
「そうだったし」
それにというのだ。
「本当にある程度の資質がないとね」
「筆頭局長なんてできないわね」
「剣の腕にね」
それだけでなくというのだ。
「器がないと」
「務まらないわね」
「まあ逆にその器でね」
「多くの人を集めて」
「しかも勤皇派だったから」
その思想がというのだ。
「会津藩に警戒されて」
「暗殺されちゃったわね」
「そうなったけれど」
それでもというのだ。
「かなりの人だったことはね」
「事実ね」
「酒乱で粗暴なだけの人じゃなかったのよ」
「芹沢さんは」
「どうもね」
「まあね、近藤さんも凄い人だったけれど」
かな恵は考える顔になって話した。
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