第三十八話 嫌な奴もいないその四
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「ヤクザだ」
「そっちか」
「そう思った、調べてな」
「裏切りに闇討ちでか」
「戦い方も結構卑怯だしな」
「そうなんだな」
「三対一で挑んだりな」
そうして敵を倒せと言っていたのだ。
「死番という真っ先に切り込む役目もな」
「それってあれだよな」
成海はその死番について話した。
「要するに鉄砲玉か」
「真っ先に切り込むだけで一人では行かないがな」
鉄砲玉は一人で行く、そうして生きて帰ることが出来ればその功績を認められて出世していくのだ。
「それでもな」
「ヤヤクザ屋さんの鉄砲玉か」
「士道不覚悟というが」
新選組でよく言われたことである。
「その実はな」
「ヤクザ屋さんに近いか」
「何かな、しかしな」
「しかし?」
「何故か恰好いい」
こう言うのだった。
「ヤクザ屋さんみたいでもな」
「お前ヤクザ屋さん嫌いだったな」
「普通好きな人はいないだろう」
越智はカルーアミルクを飲みつつ鋭い目になって成海に返した。
「ヤクザ屋さんは」
「まあそれはな」
成海も否定しなかった。
「迷惑そのものだからな」
「神戸でも最近減ったがな」
「滅茶苦茶減ったな」
「まあマフィアでも同じだが」
「どっちにしてもやること同じだしな」
「悪いことをして生きてるからな」
ヤクザというものはというのだ。
「好きな人もいないだろう」
「そうだよな」
「だから俺もだ」
越智もというのだ。
「ヤクザ屋さんは嫌いだ」
「そういうことか」
「それで新選組はな」
「ヤクザ屋さんみたいでもか」
「恰好いいと思う」
「あれじゃない?何だかんだで死ぬ時に潔いし」
伊東が言ってきた。
「服もね」
「恰好いいからか」
「そう思えるんじゃないかな」
「そうなんだな」
「それにスター揃いだし」
伊東はこうも言った。
「優れた剣豪ばかりで」
「沖田さんとかか」
「土方さんも強かったし」
「それでか」
「ヤクザ屋さんみたいでも」
それでもというのだ。
「越智の言う通りに」
「恰好いいか」
「そうか、死ぬ時の潔さにか」
「スターが揃っていて」
それでというのだ。
「恰好いいのかもね」
「そうなんだな」
「あと最期が悲しい人多いよな」
古田はこのことを指摘した。
「沖田さんは若くしてだっただろ」
「結核でな」
「土方さんは討ち死にでな」
「五稜郭でな」
「それで近藤さんは処刑されたな」
「ああ」
越智はその通りだと答えた。
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