第三十八話 嫌な奴もいないその二
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「本当にね」
「酒乱は最悪よ」
富美子も言った。
「もうね」
「無茶苦茶に暴れるからね」
「最悪もの投げたり刃物出すから」
「危ないわよね」
「そうよ、もう別人になるから」
酒乱の者が飲むと、というのだ。
「芹沢鴨さんみたいによ」
「新選組の」
「あの人みたいにね」
「ドラマとかだとそうよね」
理虹も言ってきた。
「芹沢鴨さんって」
「乱暴者でね」
富美子は理虹にも話した。
「女癖も悪くて酒乱で」
「どうしようもない人よね」
「だからね」
「今あんたが言ったのね」
「ええ、あの人刀振り回してたし」
酔ってというのだ。
「言ったけれど何かね」
「どうしたの?」
「実際の芹沢さんって違ったらしいの」
富美子は眉を顰めさせ首を捻って話した。
「お姉ちゃんの部屋に新選組の本があって読んだらね」
「芹沢さん違ったの」
「確かに酒乱の気はあったけれど」
このことは事実だがというのだ。
「豪快で親分肌でね」
「そんな人だったの」
「お世話になってる人のお葬式のお手伝いしたりね」
このことは歴史にもある。
「その時暇そうだった子供さん達の遊び相手になったりしてるの」
「へえ、そんな人だったの」
理虹は富美子の言葉に目を丸くして応えた、それは彼女が知っている芹沢鴨の姿とは全く違っていたからだ。
「芹沢さんって」
「そうらしいのよ、会津藩の人達に槍を一斉に突き出されて威嚇されても」
このことも歴史にある。
「近藤さんも土方さんも流石に怯んでも」
「芹沢さんは違ったの」
「平然と出て来てね」
そうしてというのだ。
「鉄の扇で槍の穂先仰いで会津藩の人達の間を高笑いして通ったらしいのよ」
「凄い肝っ玉ね」
「京都の人達もそれを見て」
そうしてというのだ。
「喝采したらしいわ」
「嫌われてなかったの」
「そうみたい、お店の焼き討ちもね」
これもというのだ。
「事前にやるって言ってそのお店も評判が悪くて」
「成敗?」
「そんな意味もあってね、周りに火事が及ばない様にして」
隊士達を焼き討ちの周りに配置してだ。
「やったらしいのよ」
「あれっ、気配りもしていたの」
「そうみたいよ、それで毎朝皇居の方を伏し拝んでいたそうよ」
「あれっ、新選組でしょ」
一華はそこに突っ込みを入れた。
「新選組っていったら」
「幕府方よね」
「幕府の武装警察みたいなものでしょ」
「悪く言うと秘密警察ね」
「そうよね、それでなの」
「そう、元々水戸藩の人で」
それでというのだ。
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