第三十七話 夏の食べものその十三
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「だから誰もいなくなったのよ」
「源氏はね」
「完全に血が絶えたけれど」
全て身内同士の殺し合いの結果である、頼朝の祖父源為義の血は五代で誰もいなくなってしまった。ただ為朝が琉球王になり続いたという。
「それでもね」
「平家はずっとまとまってたし」
「敵であってもね」
「結構助けてるしね」
「そうそう命は取らなかったからね」
「その頼朝さんですら助けてるし」
「清盛さん身内にも家臣にも優しかったから」
非常に穏健であったという。
「そう思うとね」
「平家はね」
「そんなに悪くないわ」
「驕るっていってもね」
「権勢持っていただけでね」
「それまでの藤原氏と同じよね」
「要するにね」
それが実情であったのだ。
「平家は悪くなくて」
「実は穏健でね」
「清盛さんもいい人で」
「驕るってどうかっていうと」
「権勢持ってただけだから」
それ故にというのだ。
「驕る平家はね」
「そうでもなかったわね」
「けれど巨人はね」
この忌まわしき邪悪の権化はというのだ。
「ガチだったからね」
「まさに驕り昂る」
「球界を私物化してね」
「やりたい放題だったからね」
「毎年優勝して当然とか」
「そんな間違った考えだったから」
「本当にざま見ろだよ」
成海は怒った声で語った。
「巨人は」
「あんなチームはどんどん負けてね」
かな恵も他の面々と同じ考えであった、邪悪を嫌い憎む気持ちは彼女にしても同じということである。
「みっともない姿晒してくれたらね」
「俺達もそれ見て元気が出てな」
「頑張れるわ。巨人が負けたら」
かな恵はさらに言った。
「何かいいことがある」
「それだけでな」
「そうも思えるしね」
「実際に見ていて幸せになるよな」
「巨人が負けてるの見たらね」
「悪い奴等が負ける」
この世の邪悪の象徴がだ。
「それだけでな」
「いいこと?」
「そう思ったよ、今」
成海はかな恵に笑顔で話した。
「本当にな」
「負けるの見てるだけで」
「それ自体がな」
「幸せなのね」
「そこに阪神が勝ったらな」
「尚更ね」
「特に阪神巨人戦でな」
このカードでというのだ。
「阪神が勝ったらな」
「最高よね」
「それだけでいいことだよ、観てな」
阪神が勝ち巨人が負けるのをというのだ。
「幸せだよ」
「それはそうね」
「幸せって色々だよな」
成海は微笑んでこうも話した。
「それは野球でもだよ」
「贔屓のチームが勝って悪い奴等が負けたらね」
「それだけでな」
「幸せね」
「ああ、そう思えるよ」
成海はグレープフルーツサワーを飲みながら話した、酒を飲んで酔うのも幸せだと思いつつ、そうして一曲歌うのだった。
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