敢闘編
第五十四話 帝国領侵攻
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「ん?どうかしたか、少佐」
「爵位を持つ家の方も、色々と大変な思いをされているなと思いまして」
「そうか、少佐は騎士の家柄だったな」
「はい。フォン・ミューゼルなどと名乗るの恥ずかしい程の貧乏騎士の家です」
「…それで姉君は後宮に入られたのだな」
「はい」
まさか俺の身の上話になるとはな…姉上は元気でいるだろうか。あの時は理解出来なかったが今なら分かる。父親と呼ぶには相応しくない男だったが、姉上が後宮に入る事を奴が望んだ訳でもなく、当然姉上が望んだ訳でもない。爵位を持つ貴族ですら、コネがなければ家を保つのが難しい貴族社会に俺は居るのだ。俺はまだ恵まれている方かもしれない。早く力を手にいれなければ…艦橋が騒がしい、何か起きたか。
「ラインハルト様、これを」
キルヒアイスが神妙な顔をしている…キルヒアイスの手には通信文が握られていた。通報艦からのものらしいが…これは。敵がついに来たようだ。
「閣下、通報艦ブロートより報告です。星系外縁部に叛乱軍艦隊、規模一万隻以上。叛乱軍艦隊と通報艦の距離、約三十億キロメートル」
「一万隻以上…例の八個艦隊の先鋒か。参謀長」
「はっ…キルヒアイス大尉、ブロートに連絡、観測続行、後続が現れ次第報せ、と伝えよ」
「はっ」
「続いてオーディンに状況を報告、簡潔でよい。通信内容は大尉に任せる」
「はっ!」
キルヒアイスが艦橋に戻っていく。イゼルローン奪還軍の編成に二か月近くはかかる筈だ。そこからアムリッツァまで三十五日…約三ヶ月間…少しでも時間をかせがなくては…。
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