敢闘編
第五十四話 帝国領侵攻
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そうでなりよりですな、作戦参謀殿」
「この顔を見て元気そうにみえますか?この度のご活躍、聞いていますよ、シェーンコップ中佐」
「活躍という程のものでもありません…名誉回復の機会を与えて頂き、感謝しております」
シェーンコップ中佐か、有名と悪名はかねがね…だが、知り合いなのだろうか?
「いえ、実力でローゼンリッターを選びましたから。適材適所という事で」
「…確かにそうですな…またいずれ任務を共にしたいものです。では」
ニヤリと笑って不遜な中佐は消えた。
「ヤマト、知り合いなのか?マイクの上官ではあるが…」
「前に任務が一緒になったことがあってね」
「顔が広いな」
「好き好んで広くなった訳じゃないけどね」
「おい、久しぶりなんだ、大隊長の挨拶も終わったし、仕事の話は止めにしようぜ二人とも!今日は飲むぞ」
長い夜になりそうだ、後でビュコック提督に連絡しとかないとな…。
帝国?483年12月10日14:00
アムリッツァ星系、チャンディーガル軌道上、銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ、艦隊司令部、ラインハルト・フォン・ミューゼル
ここアムリッツァ星系には帝国政府の直轄領がある。今我々が居るチャンディーガルがそうだ。直轄領には帝国政府から総督が派遣されるが、辺境すぎて直轄領としては開発が進んでいるとは言い難い。他にも可住惑星は近隣の恒星系も含めて二十程あるものの、同様の理由であまり開発は進んでいない。だがそれでも総人口は百万人近くにおよぶ。
「参謀長、総督から悲鳴が届いています」
「悲鳴?」
「平たく言えば、軍は星系を守れるのか、と…」
通信文をシューマッハ中佐に手渡す。通信文を見て中佐は大きいため息をついた。
「閣下、総督のダンネベルク子爵という方は、どの様な…」
「ダンネベルク、ダンネベルク…ああ、ダンネベルク子爵か。先代はワイン集めの為だけに生きている様な御仁だったが…今は代替わりして確か次男が跡を継いだのではなかったかな。財務省に勤めていた筈だ。家が傾くくらいの贈物をして総督の地位に就いたと聞いている」
「贈物…袖の下、賄賂ですか…そういった贈物はどなたの懐へ?」
「そう言ってしまっては身も蓋もないだろう…まあそうだ。この場合は内務省と財務省だな。内務省は総督の任命権を持っているし、財務省は帝国政府の財産を管理しているからな」
「フレーゲル内務尚書、カストロプ財務尚書、ですか」
「名前は出すな…そういうことだ。総督の任期を無事勤めあげれば、アムリッツァ星系か近傍の恒星系を領地として下賜される流れになっている筈だが…このままいくとダンネベルク子爵は軍のせいで総督の座を追われかねない。正念場だな」
ヒルデスハイム伯の目は、何かを懐かしむ様な、哀れむ様な色をしていた。
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