第三幕その十
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「とてもだよ」
「食べられるなんてね」
「思えないよ」
「本当にそうだよね」
「けれど美味しんだよね」
「ええ、海胆もね」
ドロシーの足下で食べているトトとエリカが応えます。
「お寿司の他のネタと同じで」
「海胆も美味しいよ」
「その海胆もだよ」
ボームさんは二匹にも暖かい声でお話します。
「茹でたホカホカのジャガイモの上に乗せたら」
「そうそう、塩辛と一緒にね」
「そうして食べるとね」
「物凄く美味しいよね」
「頬っぺたがとろけそうになる位にね」
「バターを乗せても美味しいけれど」
それと共にというのです。
「そうして食べても美味しいよ」
「昔はアジアはとても遠かったのよ」
ドロシーはしみじみとした口調で言いました、スープを飲みながら。
「オズの国と同じ位の感覚だったかしら」
「そうだね」
ボームさんはドロシーの言葉に頷きました。
「僕達からしてみるとね」
「そうだったわね」
「もうね」
あまりにも遠くて、です。
「存在していることすらね」
「果たして本当なのか」
「そんな風だったよ」
「私はカンサスの周りは畑ばかりの大平原にいたから」
ドロシーは自分のことをお話しました。
「尚更よ」
「そうだったね」
「アジアの国々はね」
「とても遠い国々でね」
「オズの国に行ったけれどアジアに行ったことはなかったから」
「お伽の国の様だったね」
「お話を聞いても」
それでもというのです。
「本当にね」
「そんな国々だったね」
「それが今ではよ」
「オズの国にもアジア系の人が増えて」
「日本の街や中華街も出来てね」
「そうした国々のお料理も食べられるね」
「そうなっているわ、孫悟空さんや関羽さんみたいな素敵な人達もいて」
そしてというのです。
「真田幸村さんや十勇士もおられて」
「お話が出来てね」
「アジアの国々や人達もオズの国の中にあって」
それでというのです。
「楽しめるからね」
「素晴らしいことだね」
「本当にね」
「中国がお伽の国だったんですね」
神宝は自分の国はそう思われていることに驚きを隠せませんでした、それでテリーヌを食べながらこう言うのでした。
「そこまで不思議な国だったんですね」
「当時のアメリカから見るとね」
「そうなんですね」
「もうね」
それこそというのです。
「オズの国と同じ位だよ」
「遠くてですか」
「よく知られていないね」
「そうだったんですね」
「昔はアメリカと他の国々は今よりずっと遠くて来た人も少なくてね」
「そうした感覚だったんですね」
「大都市に中華街はあって中国系の人達がいても」
それでもというのです。
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