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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十三話 謀多ければ…
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姫の弟さんなんです。ですが幼年学校も首席で卒業しています。優秀なんです、天才と言っていいかも知れない。次世代の帝国軍は間違いなく彼を中心に動きますよ」
「へえ、君にそこまで言わせるとはねえ…じゃああの参謀長の中佐は知っているかい?」
「シューマッハ中佐ですか?あの人も優秀ですよ。企画立案能力と実行力に優れた優秀な方です」
「それじゃあヒルデスハイム伯爵中将はどうなんだい?」
「ヒルデスハイム伯爵ですか…戦意に欠ける、といった印象はないですが、人為は分かりませんね。ブラウンシュヴァイク一門の大貴族な筈ですが、先年も前線に出ていますし、今回も援軍として来ている所を見ると、貴族の気まぐれで来ている訳では無さそう…いや、気まぐれなのかも…あれ?どうかしましたか」
ヤンさんがまじまじと俺を見てため息をついた。
「なんでそんな事を知っているのか…参謀とはかくあるべし、の見本だな君は。どんどん自信が無くなっていくよ」
「え…ヤン中佐は副官だから気にしなくていいじゃないですか」
「そういう訳にもいかないよ」
話し込む俺達を見て、今度はキャゼルヌさんが肘でつついてきた。
「お前さん達、ホストなんだから二人だけで話してないで、向こうさんに話しかけたらどうなんだ」
「どうもこういうのは苦手で…先輩こそ話しかけてみてはどうですか?率先垂範、よろしくお願いしますよ」
「お前な…」
軽いため息を吐いたキャゼルヌさんは、シューマッハに声をかけるみたいだ。…これはこれで面白いぞ。ヤンさんはともかく、キャゼルヌさんが直に帝国人と接するのは未来のメルカッツ提督とシュナイダー少佐だけだからな…。


11月28日17:15
自由惑星同盟軍、総旗艦ヘクトル、第二作戦会議室、
アレックス・キャゼルヌ

 とんでもない後輩どもだ全く。予備知識もなくどう話したものやら…。
「…シューマッハ中佐、中佐は望んで帝国軍へ?」
「…ええ、帝国で平民が手っ取り早く身を立てるには軍しかありませんから」
「なるほど。失礼ですが、ご年齢は?」
「二十七になります」
「その若さで中佐とは…いやはや優秀な方の様だ」
「キャゼルヌ大佐こそ小官とあまり違わない年と見受けられるが…それに大佐の隣に居られるヤン中佐、ウィンチェスター中佐はもっと若いでしょう。此方のミューゼル少佐もそうです。精進せねばと痛感しております」
…もうこれくらいでいいだろう、ウィンチェスター!ヤンかどちらでもいい、代わってくれ!

「…小官も質問しても宜しいでしょうか」
そう言って手を上げたのはミューゼル少佐だった。ハンサムという言葉が霞むほどの美形と言っていいだろう。豪奢な金髪、蒼氷色の瞳…。だがウィンチェスターの評通りならただの美形ではない…。
「ミューゼル少佐、あまり失礼な質問はするなよ」
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