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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十三話 謀多ければ…
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まで、で如何でしょうか?」
「ふむ…平民、いや民間人の移送に手間取っていてな、もう少し猶予が欲しいのだが」
シトレ親父をチラと見ても何の反応もない。本当に俺任せって事かよ…?
「分かりました。月が明けて十二月一日の定められた時刻まで、という事にしましょう」
「了解した。これもまた勝手で月並みな要求なのだが、我々を追うかね?出来れば追撃は止めて貰いたいのだが」
シトレ親父はやっぱり何も言わない。ううむ、どうしようか…追撃するとしても実行するのは俺達じゃないからなあ…。獲物は逃がさない、とばかりに足並みが乱れそうだ、やめてもらおう。
「了解しました。ただし条件があります。追撃を行わないのは貴方方がアムリッツァ星系に入るまでの間です。如何でしょう」
ヒルデスハイムは腕を組んで考え込んでいる。こちらの意図はそろそろ判っているはずだ。わざわざこちらの第二陣がある事をリークしたんだからな。遅滞行動をとるもよし、オーディンまで帰るもよし。悩んでくれ。




11月28日12:00
フェザーン星系、フェザーン、自治領主府
アドリアン・ルビンスキー

 まさかイゼルローンを陥とすとはな…中々やるではないか同盟軍も…。
「閣下、帝国高等弁務官府のレムシャイド伯が火急の要件でお会いしたいと申しておりますが」
「補佐官、午後の予定は何だったかな」
「エネルギー財団代表、船舶組合代表との懇談が入っております。キャンセルなさいますか?」
「そうだな、キャンセルだ。伯爵にはきちんと弁明せねばならんだろう」
「弁明ですか」
「同盟軍に第二陣がある事を知らなかったのは事実だからな」
「その点はまことに釈明の余地がございません。公式発表を鵜呑みにしておりました」
「君を責めているのではない。同盟の公式発表通りに残留部隊はフェザーン側で演習を行っていた。ちゃんとそれも帝国には伝えてあるのだから、その点では我等に全く落度はないのだ。だが…」
「帝国はそうは思っていない、あるいは我々が故意に通報しなかった、と考えている」
「若しくはそう思いたい、だろうな。おそらく同盟は意図的に増援部隊の情報を漏らしたのだ。でなければこうも都合良く察知出来るものか。とはいえ察知した情報を無視して通報しない訳にもいかん。これが本当に同盟が仕組んだ事なら、考えた者は中々意地の悪い奴だな」
「はい、通報すれば疑われる。しないならしないで更に疑惑は深まる…辛辣と言わざるを得ません。イゼルローン攻略の件も含めて我々が帝国に通報する事も組み込んで策を立てたとしか思えません」
「だな。中立とはいえフェザーンは一応帝国に忠義立てせねばならん、それを逆手に取られた」
「はい」
「忌々しい事だが、過ぎてしまった事は仕方がない。補佐官、少し考えてみようか…帝国は過去のイゼルロー
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