第二百六十二話 神託の時その十
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「やらないとな」
「国は動かないからね」
「そうだよな」
「おいら達がしないと」
書類の最終的な決裁をというのだ。
「国が動かなくなって」
「どうしようもなくなってな」
「魔神を倒す力もだよ」
「なくなるな」
「実際決裁しなかった人いるよ」
「人間の歴史にはな」
「皇帝だったけれど」
久志の様にである。
「けれどね」
「全然仕事しなかったんだったな」
「最初はそうじゃなかったけれど」
十歳で即位した時にだ。
「聡明と言われていてね」
「厳しく教育を受けてな」
「将来を期待されたけれど」
宰相の張居正自らそうしていた。
「それがね」
「歳を取ってな」
「何もしなくなってね」
正に文字通りにだ。
「朝議にも出なくなって」
「二十五年位そうしたんだったな」
「印も推すことがなくて」
「大臣や知事も任命しなくてな」
「それでね」
そうなってしまってだったのだ。
「国政が麻痺してね」
「国が衰退していったな」
「そうなったよ」
「明は大国だったけれどな」
「人口二億で広大な国土を持つね」
「伝統的な中国の王朝でな」
それだけにというのだ。
「超大国だったな」
「そんな国だったけれどね」
「皇帝がそんなでな」
「駄目になったよ」
「それで滅亡につながるな」
「そうなったよ、叛乱も頻発して」
流賊という者達がだ、集団で放浪し民を根こそぎそこに入れて巨大化していく者達でありここから明を滅ぼす李自成も出た。
「宮中もね」
「酷いものになったな」
「酷い宦官もいて」
「中国あるあるだな」
「そうしてね」
「余計に悪くなったな」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「それで滅んだんだ」
「全ては皇帝が仕事をしなくなってからだな」
「うん、国政が麻痺して」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「いや、万暦帝っていうとな」
久志はその皇帝のことについてこうも言った。
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