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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 前編
瞳の奥に潜む影
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マサキは顔を引き締めた。そのままトウマに視線を向けると、トウマも同じ表情でマサキを見ていた。マサキは頷くと、近くの茂みに隠れ、作戦を話した。

「正面から三体を同時に相手取るのはリスクが大きい。まず俺が仕掛けるから、向こう側から回り込んで、追撃してくれ」
「分かった」

 トウマは短く言うと、音を立てないように茂みから抜け出し、オオカミの進行方向に向かう。やがて、トウマが位置に就き、《ナイトウルフ》の名前通り、深い黒の毛並みに身を包んだオオカミの群れが獲物を探すようにしながら前を通り過ぎるのを確認し、マサキは茂みから抜け出した。


 マサキはオオカミの後ろにつくと柳葉刀を鞘から抜き放ち、左わき腹の横で水平に構える。一度、大きく息を吸い、吐くと同時にまだこちらに気付かずに前進を続けるオオカミのうち、一番後方に位置する一体に狙いを定め、構えを崩さないまま足に力を込め、走り出した。
 足の裏全体で草を踏みつけ、グリップし、一気にステータスの許す最高速度に到達する。敵まで残り三メートルを切ったところで一瞬だけタメを作り、同時に剣を振るう軌道を脳内でイメージする。すると、今までただ構えていただけの柳葉刀が仄かに黄色い光を帯び、遠鳴りのような効果音を鳴らす。そしてここでようやくオオカミがこちらに気付いた。

 だが、その時には既にマサキの剣は動き出していた。マサキ持ち前の頭脳によって正確にコントロールされた体はシステムアシストに完璧に乗っかり、動きを阻害しないどころか、逆に剣速をブーストする。

「ハッ!」

 マサキは短く息を吐くと、振り返ったためにこちらに近付く結果となった無防備な頭に、単発水平斬り《リベーザ》を直撃させた。

 きゃおぉんっ!! とオオカミがダメージを嫌がるように鳴き、後方へと吹っ飛ばされる。どうやら頭が弱点の上、あまり防御力は高くないらしく、一度の攻撃で二割以上のHPを削ることに成功する。
 と、ここでようやく周りのオオカミが襲撃に気付き、こちらに反転、唸りを上げながら臨戦態勢へと入る。このままではマサキは三対一の戦いを強いられることになり、レベル1の今ではかなりの劣勢に立たされる。
 だが、この状況こそがマサキの意図したものだった。
 今はオオカミたちがもれなくマサキに注意を向けている状況であるため、当然その他の方角に対しての警戒は散漫になってしまう。――先ほどマサキが気付かれずに接近できた後方などは、特に。

 先回りしていたトウマがマサキの意図に気付き、茂みから飛び出すが、オオカミの警戒は全てマサキに向いている上、時折威嚇しようと吼えるため、トウマが飛び出すときの音にも全く反応しない。トウマはマサキの攻撃でHPを削られ、その上で吹っ飛ばされたためにまたもや最後尾にポジションを取ることになってしま
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