第124話『引き継ぎ』
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てからすかさず彼女の首元に手刀を近づける。
「ま、参った……」
実際にこのまま手刀を振るうことはないのだが、こうでもしないと負けず嫌いの緋翼は降参してくれそうになかったので仕方ない。
こっちが片付いたので、残るは終夜ただ1人。
「結月は?!」
少しの間だが、終夜とタイマンを張っている結月の負担は大きい。早く加勢に向かわなければ。そう思って彼女の方を向くと、予想外の状況になっていた。
「──参った」
その言葉を放ったのはなんと終夜だった。
伸ばした腕を鬼化した結月に掴まれ、首から下を氷漬けにされていたのだ。恐らく麻痺でも狙ったのだろうが、運悪く返り討ちといったところか。
この状況になるまでに、一体どんな戦闘を繰り広げていたのだろうか。最初から見てみたかった。
「ふっ。お前らなら、魔術部を任せられるな」
氷漬けにされたままそうカッコつける終夜は、少しダサかった。
*
模擬戦が終わると、終夜が言っていた通りパーティが始まった。場所は魔術部の部室ではなく別の教室。なんと、パーティの用意はあらかじめされていたのだった。
部屋の装飾は程々に、長机に料理が所狭しと並べられている。
「それじゃあ、乾杯!」
終夜のかけ声に合わせて、ジュースの入ったグラスがぶつかり合う音が続けざまに響いた。
一口飲むと、口の中に果物の風味と甘みが充満する。戦闘後の一杯は格別に美味い。
「おっと、そういえば宿題チェックを忘れてた」
「「!!」」
と、そこでふと思い出したように終夜が呟く。すると2年生たちがびくりと肩を跳ねさせたのがわかった。中でも特に──
「どうした西片、身体が震えてるぞ」
「ま、まだ読書感想文が終わってなくて……あ、でも、半分は書いたんです! だから──」
「去年も終わってなかったのにまだ懲りてねぇのか。まぁいいや。今年の罰ゲームを始めるぞ」
罰ゲーム。それは夏休みに入る前に終夜が宣告していたものだ。いつチェックされるのかわからなかったから結月と一緒に早めに終わらせていたが、命拾いしたようである。
「はいこれ」
「シュークリーム、ですか?」
「今年はロシアンシュークリームといこうじゃねぇか」
そう言って、部長は不敵に笑う。
ここで一応説明すると、ロシアンシュークリームとはロシアンルーレットをシュークリームで代用したゲームであり、いくつかあるシュークリームの中に1つだけハズレを用意して、プレイヤーが順番に食べていく中で最初にハズレを引いた人が負けというのがよくあるルールだ。
しかし、今回はこのルールと決定的に違う箇所が存
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