第124話『引き継ぎ』
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に思っているようだった。
だがその割には、満足したような表情をしており、彼女なりに納得のいく部活動生活を送れたのだと思う。
「ということで、別れの挨拶はこんなもんだ。それで次の部長についてだが、もう決めてある」
別れの挨拶を短めに切り上げた終夜は、ようやく『引き継ぎ会』のメインとなる話題を出した。終夜が引退するのならば、当然その枠には誰かが入らなければならない。次の魔術部部長となる、誰かが。
「まぁあんまり引き伸ばしてもしょうがないからさっさと伝えるが、次の部長は三浦 晴登、お前だ」
「……え? 俺ですか!?」
「そうだ」
そんな緊張の瞬間だったが、一瞬で解放された。いや、逆に拘束されたという方が正しいか。なんと次の部長として晴登の名前が挙げられたのだ。
これにはさすがに面食らった晴登は、あれこれと終夜に疑問をぶつける。
「いやでも俺は2年生じゃないですし……」
「関係ねぇよ。魔術部の部長として相応しいのが誰かって話だからな。第一、魔術師じゃないやつに魔術部部長させられるかよ」
「そんな理由で?!」
随分と体裁を気にしたチョイスだと思ったが、その理論は確かに間違っていない。魔導祭のように外部と交流もあるのだから、部長が魔術師でなければ格好がつかないのだ。
「2年生は異論あるか?」
「「「「ないでーす」」」」
「ほら、こいつらもこう言ってるし」
加えて、2年生たちは口を揃えて賛成する。あの感じ、部長になるのを面倒くさがってるだけじゃないだろうか。
しかしこれでもう、辞退はできなくなった。
「部長として、これから魔術部を頼むぞ」
「わ、わかりました!」
もうこうなったらやるしかない。1年生の内から部長なんて、キャリアとしては優秀じゃないだろうか。そうポジティブに捉えることにしよう。
「副部長は……まぁそれは北上とかでいいか」
「えぇ雑!?」
「やったぜ」
「頑張れよ北上」
「負けるな北上」
「お前ら……」
そして緋翼のポジションは北上に託された。
自分の番はないと思っていただけに、彼は予想外の指名にかなりびっくりしている。そして他の2年生たちは全く心のこもっていない応援だ。やっぱり面倒くさがってる気がする。
「さて、これで引き継ぎは終わりだ。そもそもうちの部活に役職らしい役職はそれくらいしかないからな」
そう言って肩を竦める終夜。
このまま『引き継ぎ会』は締めに入るのかと思った、次の瞬間だった。
「この後は場所を移してパーティ……といきたいところだが、まだ飯の時間には早い。だからよ、最後に一勝負どうだ? 試験の時は消化不良だったからよ」
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