第八十一話 初等教育開始
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長女で、妹のカトレアはトリステイン王妃。
外戚として将来を約束された、これ以上無い優良物件だったが、これまで10件以上の婚約の解消を先方から告げられていた。
元婚約者曰く……
『見た目は良いのに、どうしてそんなに残念なのかい?』
『なんて残念なんだ君は……本当に残念だよ』
『どうして、お酒が入るとそんなに人が変わるんだ?』
『ごめん、もう無理だ!』
元婚約者達は悲鳴を上げながらエレオノールの前から去っていった。
新世界から帰ってきたエレオノールだったが、人間的に成長すると同時に致命的な悪癖も持って帰ってきてしまった。
古人曰く。
『酒は飲んでも飲まれるな』
そう、エレオノールに新たなアビリティ『酒乱』が付与されたのだ!
最悪な事に、飲んだ次の日の事は何も覚えていなくて、婚約者側も名門ラ・ヴァリエールと親類の国王マクシミリアンの影が怖くて何も言えず。結果、一人また一人とエレオノールから去っていった。
自分の悪癖に気付かないエレオノールは、今では家を出て初等学校の教師として自立の道を歩き始めた。
『良い人が見つかったら、すぐ家に戻ります』
とラ・ヴァリエール夫妻を説得して何とか許可を得た。
大した自立の道だこと……と何処からかツッコミが来そうだった。
「そうよ、大丈夫大丈夫。私の二十代は始まったばかりなのよ!」
気を取り直して、エレオノールはと自分自身に檄を入れると、クイッと眼鏡を上げ、腰に手を当ててポーズを決めた。
同僚の教師陣は皆貴族で、その中から言い人を見つければ良いし、王都トリスタニアでは頻繁にパーティーが執り行われる事から、それに顔も出せば出会いがあるかもしれない。
「ふふ……決まった」
などとほざくと、綺麗な金髪を手でなびかせ部屋を出た。
残念な美女、エレオノールの狩りは始まったばかりだ……
☆ ☆ ☆
初等学校の入学式は、入学生が百人程度の規模で執り行われた。
トリステインの平民教育制度は今は実験段階で、各都市に設けられた全て初等学校の入学生を合わせても千人に満たないが、マクシミリアンは10年以内に全ての平民に教育を施す為の義務化を計画していた。
入学生の割合は5歳から15歳の男女とバラバラで、学年ごとに習う内容が決まっている訳ではなく、教師と年長者で手分けして年少者を受け持つ様な、どちらかというと、昔の日本の寺子屋の様な形態をとっていた。
これは教師の募集をした際に、読み書きが出来る貴族がみな高給が約束された他の仕事に行ってしまった為、教師の数が不足して
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