第八十一話 初等教育開始
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たトリステイン鉄道計画は延期を余儀なくされた。
破門回避の為とはいえ、マクシミリアンのロマニアに対する怒りは凄まじく、今までの交渉の成果をちゃぶ台にひっくり返して、ロマリアを地図から消そうかと本気で思ったが、カトレアが何とかなだめる事でことなきを得た。
……話を戻そう。
初等教育で習う内容は、読み書きと計算、最低限の礼儀作法と教養を教えるのが基本で、幼稚園と小学校が一つに纏まった教育機関で、地球の様な中学校や高等学校で習うような学習内容は入っていない。
それ以上の内容を受けたければ、成績優秀で特待生になって奨学金を貰い大学に入るか、普通の平民では手が届かないような額の学費を払って大学に入るしかない。
児童労働の禁止が新しく定められた為、16歳になるまで卒業できないシステムになっていて、就労期間は特に定まっていない。
悪く言えば、どんなに成績が悪かろうと16歳になれば寄宿舎を放り出されるのだ。
「じどーろーどーの禁止だっけ? それのお陰で店で働けなくなっちゃったわ」
「私も貴族様のお屋敷へご奉公に行く予定だったわ」
「僕も父さんの手伝いをするはずだったんだけどな」
愚痴りながらも、準備の手を休めなかった。なんだかんだで、三人は学校なるものが楽しみだったからだ。
シエスタ達が、わざわざタルブ村から王都トリスタニアの学校に入る為に来たのは、
『ジェシカちゃんてば、最近良い人が来なくなって落ち込んでるみたいだから、シエスタちゃんに励まして貰いたかったのよ。ついでにガッコーに通う事が決まったから、ジュリアンきゅんも一緒にいらっしゃいな」
くねくねとしながら言って、スカロンが二人を呼び寄せたからだ。
「ガッコーの場所って何処だっけ?」
ジュリアンが、シエスタ達に初等学校の場所を聞いてきた。
「国王様が前に住んでらした所よ」
「あら、そこって知ってるわ!」
ジェシカが応えると、シエスタは目をキラキラさせた。
「どうしたの姉さん?」
「あそこの大浴場って、一度入ってみたかったの!」
シエスタが大浴場に思いを馳せた。
「あそこはやめといた方が良いわ」
だが、トリスタニアっ子のジェシカは否定的な意見を出した。
「どうして?」
「あそこは今。成金連中の巣窟よ。見栄っ張りな成金ばかりだって聞いたわ」
「成金てなに?」
ジュリアンが聞いてきた。
「成金ってのは……そうねえ、前の意地の悪い貴族みたいな連中の事よ」
「貴族みたいな? 姉さん、それなら行かないほうが、いいんじゃないかな?」
ジュリアンがシエスタに振ると、
「そっか……残念だわ」
と、シエスタは後ろ髪を引かれながらも
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