第五百十話 和歌山のデザートその七
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「いい部分もあるわね」
「それだと俺が外道みたいだな」
「実際そうした評判だったでしょ」
「それはそうだけれどな」
叡山もそれは否定出来なかった。
「しかしな」
「そのあんたでもよね」
「つくづくこのおっさんあんまりだろ」
仙人を引いた顔で見てエクレールに述べた。
「幾ら何でもな」
「私もそう思う、あんまりだ」
「そうだよな」
「何かね」
キュウべえも言ってきた、今も表情はない。
「魔女のことはほむらから聞いたけれど」
「この人魔女にはならないわ」
「絶望していないからだね」
「自分は絶望しないでね」
「周りに迷惑をかけているからだね」
「魔女にはならないわ」
ほむらも仙人を冷たい目で見つつ述べた。
「ずっとこのままよ」
「箸にも棒にもならないんだね」
「壇さんもならないけれど」
「この人もだね」
「絶対にならないわ」
間違ってもというのだ。
「本当にね」
「そう思うと困った人だね」
「確かにこいつは魔女にはならないわね」
ニコはその壇を見て言った。
「最初からもっとややこしい奴だし」
「私は神だからな」
壇自身は腕を組み仁王立ちして高笑いしている。
「魔女になぞならない」
「そうだね、ただ君もね」
キュウべえは壇には本人にこう言った。
「かなり色々やったんだよね」
「だが人の魂は奪っていない」
「身体を滅ぼしただけだね」
「そんなに怒ることか」
壇はキュウべえに平然として返した。
「実際に九条君はこうしてここにいる」
「僕はそれでもいいと思うけれどね」
「あたしはふざけるなだよ」
杏子は眉を顰めさせて言った、両手に一個ずつ剥いた蜜柑を持っていて左右に顔を動かしつつ食べている。
「若し九条さん死んでたらな」
「まあ生きてるけれどな、こうして」
九条本人の言葉だ。
「流石にな」
「怒ったよな」
「死んだからな、一度」
実際にというのだ。
「殺されてな」
「それじゃあ怒るよな」
「けれど今はな」
九条は杏子に応えて述べた。
「身体も戻ったしな」
「いいか」
「ああ、スサノオにはつかないしな」
「それもないか」
「それも絶対にな」
「安心するのだ」
壇もこのことにはこう返した。
「私はスサノオという神に何の魅力も感じていない」
「そこはしっかりしているのね」
「神とは何か」
梅のゼリーを食べているキュルケに述べた。
「それはだ」
「壇さんも神だって言ってるし」
「それは偉大な功績を挙げたか恐るべき技を持った者のことでだ」
壇の言う神はというのだ。
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