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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十二話 疑惑と憔悴
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かった。要塞失陥の今、復仇戦の指揮を執れる者が他にいない、引き続き軍の指揮は三人に任す、と陛下は仰せられた。国務尚書リヒテンラーデ候も同意見、という事だった。我らの留任が認められたのは他にも理由がある。昨日、フェザーンの高等弁務官府から情報がもたらされた。まもなくイゼルローン回廊に叛乱軍の第二陣が襲来するそうだ。兵力は八個艦隊という事だ”

八個艦隊…元帥の口から発せられた八個艦隊という言葉が意味するものは明白だった。叛乱軍は帝国本土侵攻を考えている。

”来襲の時期からみてイゼルローン攻略と連動していると考えていいだろう。フェザーンの黒狐…自治領主(ルビンスキー)は叛乱軍の情報遮断が巧妙で分析に手間取り通報が遅れた、と高等弁務官府に弁明したそうだ…本当かどうかは分からんがな”

元帥がそこまで口にした時、ヴァルテンベルグ大将の映像回線が突如として切断された…しばらく間を置いて映像が回復したが、映っていたのは副司令官のギースラー少将だった。

”イゼルローン要塞駐留艦隊副司令官、ギースラー少将であります。報告致します、ヴァルテンベルグ大将が自裁なされました…敗戦の責任を感じておいででした、残念です”
映像に映るギースラー少将の顔面は蒼白に引き攣っていた。ヴァルテンベルグ大将の自裁…今となっては責めるべくもないが、駐留艦隊がもう少し能動的に動いていれば状況は違うものになっていた筈だ。それをさせなかった叛乱軍が一枚も二枚も上手だったという事だが…。最前線で艦隊運用を任されていたのだ能力も自負も有った筈だ。だからこそ責任を感じていたのだろう、自決は唐突だったに違いない…。

”卿等まで失っては、と今伝えたばかりだったが…遺書等があればそのままにせよ。ギースラー少将、別命あるまで艦隊を掌握せよ…再度皆に申し置くぞ。短慮は慎むように”

 ”はっ”

”現在、イゼルローン奪還の為の部隊編成を急がせている。叛乱軍の目的は判らないが帝国本土に押し寄せる事は間違いない。不本意だが叛乱軍が停戦を要求してきた事は不幸中の幸いだった。卿等は時間を稼ぐのだ、いいな。以上だ”


映像通信が終わると、キルヒアイスが伯へ通信文を差し出した。
「…自らを裁くのは後回しになってしまった様だ。これを見たまえ参謀長」
伯は手渡された通信文を参謀長に回した。参謀長は俺にも見る様に促している。
「駐留艦隊の残兵を収容しこれを統率せよ。発、宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー。宛、エーバーハルト・フォン・ヒルデスハイム伯爵中将殿」
間を置かず映像通信が入る。駐留艦隊のギースラー少将だった

”閣下。駐留艦隊の残存兵力、七千二百六十隻。再編成中ですので被害報告は後程再度報告致します…よろしくお願いいたします”

「うむ。急な話で
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