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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十二話 疑惑と憔悴
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塞守備隊側だとしても、戦力差と装備の差で劣り、守備兵の誇りであった要塞主砲が破壊された、という事実、そして直接侵入されたという複数の悪条件ではまともに戦えるはずもなかった。更に要塞主砲を破壊した事で外の艦隊戦でも有利に戦える様になった叛乱軍は、要塞司令部ではなく要塞内部中央に鎮座する中央核融合炉の占拠を目指した。そしてそこを占拠し、連絡通路の安全を確保した時点で我々に一時停戦を申し込んできたのだ。

 「叛乱軍も無駄飯を食わせる余裕は無いのでしょう…これは、申し訳ありません、ご相伴にあずかります」
伯は従卒を呼び、俺と参謀長、そして報告にきていたキルヒアイスにもワインを注がせた。従卒が去ると、再び喋り始めた。
「来た、見た、勝った、か。先地球時代の英雄の言葉だそうだ。まるで今日の叛徒共の為に用意された台詞の様ではないか」
「ローマのカエサルの言葉ですね…はい、正にその様に聞こえます」
「中佐は詳しいな。…帝室の藩屏が聞いて呆れる…要塞を救えず、更にその要塞は敵の手に渡った。かくなる上は、自らを裁く必要がありそうだ」
「何をお考えですか?お止めください」
中佐の眼には強い制止の火が灯されている。中佐の視線を受け止める伯の眼光は柔らかかったが、その眸には中佐に負けずとも劣らない強い意志が感じられた。
「私は弱い男だ、自らで自らを裁くなど空恐ろしい事だが、責任を取らねばブラウンンシュヴァイク一門の名を汚すのでな」
僅かに震えている伯がそこまで言った時、オーディンからの通信があります、共有回線の様です、と通信オペレータの報告が上がって来た。
「大スクリーンではなく司令部に回せ」
参謀長はそうオペレータに伝えると、遮音力場を作動させた。映像が映り出す。要塞指揮官クライスト大将、駐留艦隊司令官ヴァルテンベルグ大将がそれぞれ映し出されていた。そして最後に映し出されたのは宇宙艦隊司令長官、ミュッケンベルガー元帥…だけではなく軍務尚書エーレンベルク元帥、統帥本部長シュタインホフ元帥の姿もあった…要塞を落とされたのだ、帝国軍三長官の肝も氷点下まで冷えているだろう…。

”クライスト、済まぬ。我等がまともに増援を繰り出しておけば、”

”お顔をお上げ下さい長官、ヒルデスハイム伯を援軍に頂きながら叛乱軍を覆滅せしめ得なかったのは小官とヴァルテンベルグ両名の罪でございます“

「援軍として防衛戦に参加しながら、何も成し得ず…指揮官としてもブラウンンシュヴァイク一門としても恥ずかしい限りでございます」


”卿等が無事なだけでもよしすべきであろう。卿等まで失っては帝国は人材の上でも重大な損失だ…イゼルローン要塞失陥の報を受け、我等三人は陛下に職を辞する事を願い出た”


”何ですと!?”


”まあ最後まで聞け…願い出たが果たされな
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