第三十六話 二度目の合コンその十四
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「あそこのカレーはあの人が大好きだったのよね」
「織田作之助がな」
「そのことも有名なのね」
「そうだ」
越智はその通りだと答えた。
「まあそれは普通だな」
「そうね」
富美子も否定しなかった。
「鏡花さんと比べたら」
「夏に湯豆腐はないからな」
「ちょっとね」
「暑いだろ、それ」
成海も言ってきた。
「俺も湯豆腐好きだけれどな」
「夏はだな」
「冷奴だよ」
こう越智に言った。
「それだよ」
「他はないな」
「湯豆腐は夏だよ」
成海は断言した。
「他にあるか」
「そうだよな」
「ああ」
その通りと答えたのだった。
「本当にな」
「お前もだろ」
「ああ、けれど熱消毒でか」
「そうして食っていた」
「そうだったんだな」
「旅行の時もアルコールランプを持ち歩いていた」
越智は鏡花のこの話もした。
「そして水を沸騰させてな」
「熱消毒してか」
「飲んでいた」
「本当に徹底していたんだな」
「そこまで細菌を恐れていたんだ」
「今だとちょっと考えられないな」
「どの旅館にもポットがあるからな」
成海に冷静な顔で話した。
「それでな」
「ああ、だからな」
「しかし昔はなかったからな」
「電気もな」
「それでそうしていた」
「そうか、しかし夏に熱燗もな」
成海は冷えたビールを飲みながら思った、見ればその横ではかな恵が今も白ワインを大ジョッキで飲んでいる。
「それもな」
「ないな」
「俺は無理だよ」
「お酒は冷えたものじゃないとね」
かな恵は飲みつつ言い切った。
「冬でもね」
「かな恵そっち派よね」
留奈がそのかな恵に話した。
「お酒は」
「そうロックかね」
「冷やしたのをよね」
「夏でも冬でもね」
季節に関係なくというのだ。
「飲むわ」
「そうよね」
「それが一番美味しいと思うからね」
酒はとだ、かな恵はワインをごくごくと飲みながら留奈に返した。
「それでよ」
「冬でもロックか」
「冷えたのよ」
「そっちね」
「逆に熱燗はね」
「かな恵は駄目ね」
「飲めない訳じゃないけれど」
それでもというのだ。
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