暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第128話:子の目に映る父の姿
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 遂に敵の戦力の一角である、オートスコアラーのガリィを撃破できた。その事は戦力的には勿論、今後のキャロル達の行動を知れると言う意味でも非常に大きな意味を持っていた。

 だと言うのに、ガルドの表情は決して明るいとは言えなかった。彼はマリアがガリィを倒す瞬間をその目で見ているのに、である。
 今も彼は、眉間に皺を寄せたまま鍋の中のボルシチを掻き回している。普段料理をする時はもっと気楽そうと言うか、落ち着いた顔をしている彼には珍しい事だった。

 そんな彼の様子を、隣で皿を洗っていたセレナが不思議に思わない筈がない。

「ガルド君、どうしたの? 何か最近ずっと考え事してるみたいだけど?」
「ん? あぁ、いや……ちょっとどうしても腑に落ちない事があってな」
「腑に落ちない事って?」
「それは――――」

 自分を心配してのセレナの質問に、ガルドは安心させようと口を開いた。が、言葉を発する直前、ちょうど昼食を取ろうとしたマリアがやってきた。

「2人とも。仕事中はイチャつくのも大概にして欲しいものね」
「ね、姉さん!?」
「いや、別にイチャついては――!?」
「はいはい、分かったから。それより配膳頼めるかしら?」

 ガリィを倒してから、マリアは肩の力が抜けたように見える。イグナイトを制御する際に、心のつっかえが取れて気が楽になったのだろう。以前に比べるとずっと余裕のある顔をしていた。
 だからだろうか。颯人も最初の頃に比べてマリアに対してはちょっかいが出しづらくなったと言っていた。

 と、そんな事は置いておいて。ガルドは用意されていた器にボルシチを入れ、マリアが持っている盆に乗せた。

「ほら。今日は故郷の味だ」
「ありがと。うん、いい匂い」

 受け取ったボルシチにマリアは満足そうな顔をして近くのテーブルにつくと、スプーンでボルシチを掬い口に運ぶ。

「……ん?」

 ボルシチを一匙口に入れた瞬間、マリアが首を傾げた。その光景にセレナも釣られるように首を傾げる。

「姉さん、どうかしたの?」
「……ねぇガルド? 何か悩みでもあるの?」
「! 何でそんな事が?」
「何時もに比べて味にブレを感じるわ」

 悩みと言うか考え事をしていた事は事実だが、それをまさか料理の味で見破られるとは思ってもみなかった。試しにガルドも味見用の小皿に少し掬い、口に入れてじっくり味を見てみる。すると、なるほど確かに何時もに比べて味がぼやけている気がした。塩か何かが、何時もに比べて量がおかしくなっていたらしい。
 同じように味見してみたセレナも、言われなければ気付けないような味の変化に一口で気付いた姉に称賛の目を向ける。

「姉さん、凄い! よく分かったね?」
「流石に、高級料理でやる気を出せるマリアは違
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