第三十三章 惑星の意思
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ほんの少し前まで、疲労にぜいはあ息を切らせていたというのに、アサキの圧倒的な強さであった。
「強いなあ」
シュヴァルツは笑う。
不敵に、ただしどこか機械的に。
その機械的な笑顔へとアサキは、剣を構え直して飛び込んでいた。
だが、剣は獲物を捉えるどころか、振り下ろされることすらなかった。シュヴァルツの身体が、ふっと溶けるように消えてしまったのである。
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シュヴァルツが消えただけではない。アインス、ツヴァイ、ドライの三人の姿も、どこにもなかった。
残るは静寂であったが、その静寂はすぐ広島弁によって破られた。
「あいつらすぐ逃げ出しよったけえ。なにがしたかったんじゃろなあ」
「分かんねえよ」
カズミがいつもの乱暴口調でぼそり。ちょっと間を置いて、言葉を続ける。
「まあ、至垂をぶっ倒してくれたのは、ありがたいけどな。だいたい、アサキが甘すぎなんだよ。……ひょっとして同じキマイラとして、仲間意識でも持ってんじゃねえだろうな」
「犯した罪は許せないよ! どんなに憎んでも、憎み足りない! ……でも、だからこっちも生命を奪うというのは、違うでしょう? やっぱり、生きて償うべきだと。わたしは、そう思ったから」
尻すぼみ。最後はなんだか元気のない声になっていた。
申し訳ないような、悲しそうな、苦しそうな、なんとも複雑な表情になっていた。
と、突然、ぱんと音が響いた。
カズミが自分の頬を両手でひっぱたいたのである。
「ごめん」
手を下ろしながら、アサキへと小さく頭を下げた。
「あたし、酷いこといっちゃったね。キマイラが、とか。そんなの、関係ないのに。お前は単に、底抜けに優しいだけなんだって、分かっているのに。……ごめんなアサキ」
「え、あっ、謝らないでよう。わたしの方こそ、申し訳ないと思っている。確かに、考えが甘いと思うよ。それが、みんなを危険にさらすことだってあるのにね。だから本当は……」
「うああっ!」
治奈の叫び声が、アサキの言葉を吹き飛ばした。
「どうしたの? 治奈ちゃん」
治奈のびっくりしている顔を見たアサキは、視線の先へと自分も視線を向け、た瞬間に、自分もびっくりして目をまんまるに見開いていた。
至垂の姿が、見えないのである。
首を落とされて死んだはずの、至垂の身体がなくなっていたのである。
巨大な蜘蛛と合体した、あの大きな身体が。
そもそも、首を切られて死んだことが幻影だった?
アサキが何度も見せたような、魔法だった?。
いや、地に出来ている大小の陥没が、そうではないことを示していた。間違いなく、至垂の巨体はここに倒れていたことを示していた。
「な、
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