米国編 ウルトラセイバーファイト 後編
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瞠目している。いつか必ず超えてやる、と息巻いていた相手が突如目の前に現れたことで、彼女はごくりと生唾を飲み込んでいた。
――だが、日本からここまで急行して来たアキレスこと暁嵐真にとって、ニューヨークへの道のりは決して気楽なものではなかったのだろう。体力の消耗も厭わず全速力で飛んで来たためか、胸のカラータイマーはすでに赤く点滅し始めていた。
(嵐真君っ……!)
その現象から、嵐真が無理をしてここまで駆け付けているのだと理解したエリーは、唇を噛み締め、操縦桿を握る手を震わせている。彼をこれほど追い詰めてしまった自分の至らなさを、悔いるように。
『デヤァアッ!』
一方、アキレスは即座に倒れたベムスターに飛び掛かると、マウントポジションからの手刀の連打をお見舞いしていた。両腕をはためかせてその場から脱した大怪獣を追撃するべく、彼は額のビームランプからトロイレーザーを発射する。
だが、腹部の吸引アトラクタースパウトによって細い光線はあっさりと吸い込まれてしまい、アキレスは疲労のあまり片膝を付いてしまう。
『いけませんアキレス、ベムスターに光線技は通用しないのです! アキレスラッガーを使わなくてはッ!』
『デュッ……!』
エリー機からの呼びかけに反応したアキレスは、力を振り絞るように立ち上がるとベムスターから距離を取り、頭部のアキレスラッガーを投げようとする。だが、ベムスターの角から放射される破壊光線の嵐が、アキレスの反撃を執拗に阻んでいた。
回避に徹すれば、その動きの分だけニューヨークの街を巻き込んでしまう。避難が完了していないこの状況では、大勢の市民が犠牲になりかねない。それ故にアキレスは避けることも叶わず、ただ両腕で破壊光線を防御する一方となっていた。
命を削るような無理を重ねて、ここまで来たというのに。このままでは、アキレスまで負けてしまう。その戦況にますます唇を噛み締めていたエリーは、意を決するようにアメリア機へと声を掛けた。
『くッ……! アメリア隊長、我々も攻撃を仕掛けましょう! アキレスの宇宙ブーメランなら、ベムスターを攻略出来るはず! 私達で、そのチャンスを作るのですッ!』
『む、無理よエリー……! だって、だって私達の攻撃なんて一度も……!』
だが、ベムスターの圧倒的な力に心を折られてしまっていたアメリアは、攻撃に踏み切れずにいた。
BURKセイバーによる総攻撃も全く通じなかったのに、今さら自分達に何が出来るというのか。そんな諦観が、弱々しい声色に表れている。
『……いい加減にしなさいッ! その顔はなんですか、その眼はなんですか、その涙はなんですかッ!』
『……!』
『私達がやらずに、誰がアキレスを助けるのですか! 誰がこのニュー
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