第三章
[8]前話
「宴を開き奴にしこたま酒を飲ませるのだ」
「酒をか」
「勿論馳走も出してな」
宴を開くならそれも必要である、それでというのだ。
「そのうえでな」
「奴をもてなすか、では奴の酒に毒を入れて殺すか」
「それも手だが神が毒を使って敵を殺すとな」
「流石にどうかとなるな」
「だからそれもしない、まあ宴を開けばいい」
「そしてあの者に酒と馳走を出すか」
「そうするのだ、いいな」
オーディンに邪な笑みのまま話した、そうしてだった。
オーディンはロキの策を入れてシアスィを神々の国アスガルドにある自身の屋敷に呼んだ。そこに神々も集めてだった。
彼を客としてもてなした、黄金の林檎を貰えると聞いた巨人は嬉々として来て宴の中で得意の絶頂で飲み食いするが。
上機嫌だったのでどんどん飲んだ、すると。
すっかり酒が回って遂にだった。
騒いで暴れはじめた、ロキはそれを見てオーディンに囁いた。
「客とは言え無礼だな」
「神々に対してな」
「そうだ、これでは何をするかわからん」
「成敗しなくてはいけないな」
「そういうことだ、ではいいな」
「うむ、客だが仕方ない」
オーディンはにやりと笑って述べた。
「この者を成敗しよう」
「それではな」
二人がこう言うとだった。
オーディンはトールがミョッルニルを持って立ち上がるより先にだった。
自身の槍グングニルを投げた、そうして巨人を串刺しにして殺した。すると。
イドゥンは忽ちのうちに怪我が治り黄金の林檎の木を世話出来る様になってだった。
神々の食卓に林檎を出す様になった、神々はその林檎を食べて若さを取り戻し再び死なない様になった。
ロキはその林檎を食べてつつオーディンに話した。
「この通りだ」
「巨人を倒すにはだな」
「知恵も必要だ、そして神が神である為にもな」
「知恵が必要だな」
「そうだ、神といえど敵はいてだ」
そうしてというのだ。
「危機もある、その危機にだ」
「知恵を以て対することだな」
「力を使うこともいいがな」
神々のそれをというのだ。
「こうしてだ」
「知恵も使うことだな」
「そういうことだ、ではお主もだ」
「わかった、林檎を食しよう」
「そうすることだ」
ロキは笑顔で言った、そうしてだった。
オーディンに林檎を一個差し出した、片目の神はその林檎を手に取って齧った、すると全身に力がみなぎった。
老いる神々 完
2022・2・14
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