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老いる神々
第一章

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                老いる神々
 アスガルドの神々は常に黄金の林檎を口にしている、これを口にすることで神々は不老不死となっているのだ。
 この林檎は詩の神ブラギの妻であるイドゥンが育てている、若々しい外見で薄めの奇麗なブロンドで幼さの残るやや細長い顔と切れ長のアイスブルーの目を持つ彼女がそうしている。
 まさに神々はイドゥンの恵で不老不死を保っているのだ、しかし。
 ある日そのイドゥンが怪我をして床から出られなくなった、すると。
 神々は次第に老いてきた、そしてそれを見てだった。
 神々の敵である巨人達も動きを活発化させてきた、それを見てだった。
 神々の主オーディン片目の老人である彼は火の神であり彼の知恵袋でもあるロキに対して尋ねた。
「イドゥンのことだが」
「言いたいことはわかっている」  
 整っているが何処か陰のある外見の彼もこう答えた。
「怪我をしてだな」
「それがずっと治らないのでな」
「お陰でリンドを育てられずだ」
「我々は老いてきている」
「このままだと死ぬぞ」
「そうだ、どうすればいいのだ」
「俺も心配で医術の女神エイルに診てもらったが」
 それでもというのだ。
「今の通りだ」
「そういうことだな」
「ここは祭司のニョルズに聞こう」
 神々の中でそれを司る彼にというのだ。
「そしてその神託でな」
「神のだな」
「どうしたらイドゥンの怪我が治るかをだ」 
 このことをというのだ。
「知ろう」
「そうするか」
「そうだ、医術で駄目ならだ」
 それならばというのだ。
「その時はな」
「神託だな」
「それに頼ろう、これでどうだ」
「それしかあるまい」
 オーディンはロキの言葉に頷いた、そうしてだった。
 ニョルズの神託を聞くと年老いた外見の彼はオーディンとロキに話した。
「実はあの怪我は仕組まれたものだった」
「仕組まれたもの?」
「呪いだ」
 ニョルズはオーディンに答えた。
「それだ」
「呪い?巨人のか」
 ロキは呪いと聞いてすぐに察した。
「我等神々に呪いを仕掛けるとなると」
「そうだ、その巨人はだ」 
 ニョルズはロキに応えてさらに話した。
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