第二章
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「それで喉の渇きを癒すのだ」
「わかりました」
「その様にします」
「これより」
「わしもその様にする」
こう言ってだった。
李広は兵達に杏子を食べさせてだった。
自身も馬から降りて食べた、だが。
「何だこれは」
「皮が極端に分厚いな」
「しかも実は薄くて苦い」
「こんなもの食えたものじゃないぞ」
「かえって喉が痛む」
「酷い杏子だな」
「全くだ、こんなもの食えたものではない」
李広も怒って言った。
「何とまずい杏子だ」
「全くです」
「もう去りましょう」
「このまずい杏子の林は切るか燃やしましょう」
「そうしましょう」
「そうだな」
李広は兵達の言葉に頷いてだった。
剣を抜き兵達に林の木を全て切り燃やす様に命じようとした、だがここで。
二人の美女、杏子色の宮女の服と冠を身に着けたまだ十代と思われる外見の彼女達が表れて李広達に言ってきた。
「お待ち下さい」
「どうか切らないで下さい」
「ここは私達の言葉を聞いて下さい」
「そうしてくれませんか」
「急に出て来たな、若しやそなた達はこの杏子の林と関りがあるのか」
李広は女達に対して問うた。
「そうなのか」
「左様です」
「その通りです」
二人で李広に答えた。
「私達は西王母様にお仕えしていまして」
「この度は西王母様から遣わされました」
「李将軍と将軍の軍勢がお困りなのを見て」
「お助けする為に」
「そうであったか、ではだ」
李広は女達の話を聞いて気付いた顔になって述べた。
「先程の布はそなた達か」
「左様です」
「その通りです」
まさにという返事だった。
「少し悪戯心を起こしまして」
「それで布に化けたのですが」
「妹が将軍に射抜かれてです」
「その痛みであの様な杏子になりました」
「そうか、わかった」
ここまで聞いてだった、李広は頷いた。
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